カリオストロの城 山崎氏によるシナリオ版ラストと続編構想
「カリオストロの城」シナリオを宮崎駿監督と共同執筆した山崎晴哉氏インタビュー
クラリスについて
「僕は、クラリスが一番難しかったのね。ああいう『きれい』っていうか・・顔がきれいって意味も含めてだけど、心が純真な、ね。書きようがないワケね。やっぱり悪女の方が書きやすいですよ。あんまりきれいで純粋だと存在感なくって馬鹿になっちゃうしね。そうかといってあまり行動的だと方や不二子ってのがいるし。行動的でもいいんだけど、あんまりチャカチャカしていると・・・やっぱり彼女はお姫様なんだしね。あくまでお姫様でいて、仮縫いの最中に車で逃げちゃったりとかいう行動性を持っていて・・そういうとこ難しかったですね。
だから逆にクラリスが一番心配だったですね。どう見られるかってことね。”なんか古くさい女が出て来たな”と思われるかな・・とか、女の人には総反発くらって、それがためにルパンのイメージが崩れちゃったりするんじゃないかって心配したわけね」
シナリオ版のラストについて
「カリオストロの城でね、ラストは銭形と追いかけっこをやって笑いのうちに終るでしょう。あれ、よくある手でしょう。だから映画ではやりたくなかったのね。
シナリオには書いてないんです。
シナリオでは、杉木立・・・杉が立っているまっすぐの並木道でね、ルパンが逃げていくのは同じなんだけれども。銭形も追っかけてくるのは確かなんだけれども、ずっと後ろの方でね。
杉木立の間を逃げていく車の中でルパンが口笛なんかを吹いて・・・・要するに”顔で笑って心で泣いて”みたいな、ね、さびしい影が宿るみたいな感じで、車がスッーと消える所で終わりって僕は書いたんだけど」
カリオストロの城の続編について
「男でも女でもいいですから、その人の情熱を追う、みたいな、まだ完成されていない人間、ひとりの少女の情熱とか生きざまみたいのをやってみたいな。
『ルパン三世』では、ルパンはルパンで次元は次元で、皆、完成された個性で、そのぶつかり合いみたいな感じですね。
カリオストロの城をやるんだったらば、クラリスの生きざまを中心に書きたいなァって気がしますけれども。泥棒さんを好きになって、本当にすべてを捨てて追えるのか、本当にルパンを追ってパリの裏街にまで行けるのか、そういう事をやってみたかったですね。
あの場合、仕方がないんだけれど、あそこで”さよなら”って言って別れますよね。あそこで、何でとどまっているんだろうね、クラリスは。
だからね、まだ、遊びの世界って気がする訳ね、僕としては。
ルパンがパリに帰っちゃった。・・・クラリスは恐らく密かに、あとを追って行くだろう。そして、雨にうたれてびしょ濡れになりながら裏街をさまよい歩いて、そこで初めて女として愛するってどういうことか知った時に、ルパンはやっぱり別れていくかって所をやりたいって気がするんです。
ああいう少女の情熱みたいなものを書きたい。
そういう意味では、(カリオストロの城は)完成された人格ばかりの話だった気がするんですね。わずかにクラリスが屋根の上で機関銃からルパンを守っておおいかぶさったという所はありましたけれどね。それをもう少し追求したいなって気がします。」
−−−あれは必ずしもルパンでなくてもいいですね。クラリスには愛情の対象を選ばない非常に博愛的なところがあるでしょう。
「だから、それが本当にルパンという男を愛したならば、博愛がひとりの女の情熱に変わっていく。その時のクラリスを追いかけたいってことです。」
(以上、LUPIN THE THIRD VOL.2より抜粋(1981年))
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