映画のラストで何を表現しようとしたのか。一番わかりやすい解説は企画書にあります。
「二十一世紀の混沌の時代にむかって、この作品をつくる意味はそこにある。
世界全体の問題を解決しようというのではない。荒ぶる神々と人間との戦いに
ハッピーエンドはあり得ないからだ。しかし、憎悪と殺戮のさ中にあっても、
生きるにあたいする事はある。素晴らしい出会いや美しいものは存在し得る。
憎悪を描くが、それはもっと大切なものがある事を描くためである。
呪縛を描くのは、解放の喜びを描くためである。
描くべきは、少年の少女への理解であり、少女が、少年に心を開いていく過程
である。
少女は、最後に少年にいうだろう。
「アシタカは好きだ。でも、人間を許すことはできない。」と。
少年は微笑みながら言うはずだ。
「それでもいい。私と共に生きてくれ」と。
そういう映画を作りたいのである。」
ほかに、いくつかのインタビューから抜粋します。
「人間を許すことはできない」と、あの女の子ははっきり言うだろうと。つまり、サンというのは、アシタカに突き刺さった棘ですから。これは今後大変な目に遭うだろうなと思いつつ、でもアシタカはそれを背負って生きていくんだというふうに決めたという事です。」(風の帰る場所)
「人間がつつましく生きていること自体、自然を破壊しているんだという認識に立つと、どうしていいかわからなくなる。でも、自然と人間の問題は、そこから考えないと、やばいなというところまで来てしまったんですね。
サンの最後の言葉は、答えが出せないままにアシタカに刺さったトゲなんです。そしてアシタカは、そのトゲとも一緒に生きていこうと思っている。
あの後、アシタカはタタラ場に住んで、サンは森に住むんでしょう。タタラ場の理屈から言うと、生きていくためには木を切らなければならない。だけど、サンは切るなっていうでしょ。その度に突っつかれて生きていくんだな、アシタカは大変だなと思って(笑)。
でも、それはまさにこれから生きていく人類の姿そのものなんですよ。」(ロマンアルバム)
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