9.ハウルは何故ソフィーに惹かれたのか
恋心が目覚めだので・・といってしまえばそれまでですが、それ以外の説明としては以下のものがあります。
ハウルが最初にソフィーに声をかけたのは、おそらく、浮気者の性格からでしょう。
しかし、なぜハウルがめくらめっぽう若い女性に声をかけているかというと、自分に心臓がないためと考えられます。(参照#7.ハウルはなぜ浮気性なのか)
一方、ソフィーは、実は命を吹き込む魔法を使える女性でした。(参照#ハウルの動く城はなぜわかりにくいのか)
つまり、後から考えれば、この他には考えられない組み合わせなのです。
生命を吹き込む力を持つソフィーだからこそ、心臓のない男であるハウルに、ハート(心、心臓)をもたらすことができたのです。
ハウルは、かなり早い段階でこのことに気づいていた可能性があります。
しかし、もしかすると最初に気づいたのは荒地の魔女だったのかもしれ ません。
なぜなら、小説版では、ソフィーは販売している帽子に次々と(無意識に)魔法をかけて売っているのですが、荒地の魔女は、ソフィーの店にきたとき、帽子をひとつひとつ見てその属性を見破り、あげく、「人の商売に手出しをするとこうだ」と言ってソフィーに魔法をかけるからです。
荒地の魔女は、ソフィーの力を知った上で、ハウルを救う鍵になる女性だからこそ、呪いをかけて老婆としたのでしょう。
心に傷を負った女性と心を無くした男性が出会うことで、二人とも癒され、心が結ばれていく・・ハウルの動く城はそのようなラブストーリーと見ることも可能です。
(参考)上に書いたように、80年代〜90年代風に考えれば、心に傷を負った者同士のラブストーリーなのですが、ヨーロッパのおとぎ話しの伝統を考慮して考えると、19世紀のロマン主義の系譜も考えられます。
呪われた運命の男性が、誠実な女性の身を犠牲にした行動によって救済されていくという・・ワーグナーが多数のオペラを作っているテーマですね。
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