3章.アダム計画

前章において、E計画とは、人間が制御できる形でのアダム再生計画である、と結論しました。

しかしながら、

14話冬月「アダム計画はどうなんだ。」

   ゲンドウ「順調だ。2%も遅れていない。」

15話ゲンドウ「アダムは順調だ。エヴァ計画もダミープラグに着手している。ゼーレの老人は何が不満なんだ。」

   冬月「肝心の人類補完計画が遅れてる」

という会話からわかるように、2015年においては、E計画(エヴァ計画)とは別に、アダム計画というものが行われています。

 

ここでいう、アダム計画とは、もちろん、エヴァのことではなく、8話で加持がドイツから輸送してきたオリジナルアダムのサンプル(ベークライトアダム)のことです。

 

つまり、アダムの再生とゲンドウが言っている計画が二つあり、紛らわしいのでまとめると、

 

1.アダム再生計画(通称E計画(エヴァ計画))…アダムをベースに、人間に制御可能な、エヴァとして造る。

21話ゲンドウ「我々のアダム再生計画、通称E計画のひな型たる、エヴァ零号機だよ。」

 

2.アダム計画・・・・オリジナルアダムを純粋に再生する。

14話冬月「アダム計画はどうなんだ。」

ゲンドウ「順調だ。2%も遅れていない。」

 

 

以下混乱をさけるため、前者をE計画、後者をアダム計画で統一します。 では、このアダム計画はいつから始まったのでしょうか。

21話脚本版ゲンドウ「今日から新たな計画を推奨する。キール議長にはすでに提唱ずみだ。E計画とは別に、オリジナルであるアダムの再生をも推し進める。」

   冬月「アダム計画だな。」

   ゲンドウ「そしてもう一つ、かつて誰もがなし得なかった神への道だ」

   冬月「まさか、あれを」

   ゲンドウ「そうだ。人類補完計画だよ。」

 

これは、脚本版の会話であり、テレビ版においては「アダム計画」の部分が削られています。しかしながら、

一. テレビ版では説明されない、アダム計画の企画過程を説明する唯一のセリフであること、

二. テレビ版においてもアダム計画がいつの間にか実行されていること、

三. 映画パンフでも、アダム計画は2004年からと記されていること

 

以上より、この会話どおりに、2004年、人類補完計画と同時に、アダム計画が始まったことは間違いないと思われます。 つまり、人類補完計画開始と共に、E計画とは別にアダム計画が始まったわけです

 

なお、アダム計画の本来の目的は、

1. 12体のエヴァを作るためのアダムのクローン・サンプル12体の提供(E計画とのリンク)・・エヴァ1体の作成過程においては、ベースとしてアダム(またはリリス)のクローンを一体用意する必要があると思われる。詳しくはエヴァの作り方参照(現在作成中)。

2.贖罪の儀式を行うために、1体のサンプルにより純粋にオリジナルアダムを再生すること(人類補完計画とのリンク)・・「アダム計画」参照

であると考えられます。

 

結論3

2003年・・・E計画とは、アダムを、人間に制御できる形で再生するものであった。そしてその名称がエヴァンゲリオンであった。

2004年・・ 人類補完計画開始とともに、アダム計画がはじまった。これは、オリジナルアダムの再生(サンプルの量産も含む)プロジェクトであった。

 

 

 

(参考)加持のアダム発言

 

ビデオ版21話において、

加持「アダムのサンプルを碇司令に横流ししたのがばれそうなんでね。」

という発言があります。

 

しかし、アダムのサンプルをゼーレに黙って、文字通りに横流ししたわけではないことは、

7話「サンプル獲得の修正予算がおりたそうです」

14話ゲンドウ「アダムの再生も計画通りだ。2%も遅れていない。」

15話ゲンドウ「アダム計画は順調だ。エヴァ計画もダミープラグに着手している。あの老人は何が不満なんだ。」

などのセリフから明かです。ゼーレ公認であり、しかもゼーレが進捗を気にしていると思われる計画のひとつであったことがわかります。

 

では、なぜ加持は横流しと言ったのでしょうか。 ここで、加持がそもそも何故NERVに来たのかを考えてみると

20話ゼーレ「鳴らない鈴に意味はない。」 という言葉にありますように、NERVの行動を監視し、ゼーレの行動表に従っているかをチェックすることにあります。

そして、加持がアダムを輸送したことからもわかるように、彼の任務の一つがアダムの監視であったことは間違いありません。

20話ゼーレ「鳴らない鈴に意味はない」

24話ゼーレ「ネルフ、そもそも我らゼーレの実行機関として結成されし組織。」

      「だが今は一個人の占有機関となり果てている」

      「さよう、我らの手に取り戻さねばならん。」

25話ゲンドウ「ああ、リリス、そしてアダムさえも我らにある。」

     冬月「老人達が焦るわけだ。」

 

これらのセリフの流れの中で、加持が自分の任務であるアダムの監視について「碇司令に横流ししたのがばれそう」と語る場合、ここで意味されている内容は、

 

・ゼーレの計画を無視して、ゲンドウが独自の計画に基づいてアダムを処理しているのを黙認した。

という意味ではないかと思われます。

 

ゼーレが、初期構想であったアダムをよりしろにした補完計画を断念した背景には、加持という「鈴」がならず、アダム計画がゼーレの予定通りには進まなかったことが影響していると思われます。

逆の視点で言えば、このことは、加持の命取りになった原因のひとつでもあります。

 

 

 

4章.人類補完計画

 

結論2より、 E計画とは、人間に制御できるアダムを作りだすことです(エヴァと名付ける)。

・ ・目的は、シトを迎撃することです。

 

結論3より、アダム計画とは、オリジナルのアダムを再生することです。

・ ・目的は、

1. そのサンプル12体を元にエヴァンゲリオンを作成すること(エヴァの作り方参照)・・E計画とリンク

2. 純粋に再生した1体のアダムを用いて贖罪の儀式を行い、南極のガフの間(WHITE MOON)に回帰することです(ゼーレの当初の予定です:「アダム計画」参照)・・人類補完計画とリンク

 

15話ゲンドウ「アダムは順調だ。エヴァ計画もダミープラグに着手している。ゼーレの老人は何が不満なんだ」

   冬月「肝心の人類補完計画が遅れてる。」

   ゲンドウ「全ての計画はリンクしている。問題はない。」

 

そして、アダム計画やE計画とリンクしている人類補完計画とはどのようなものでしょうか。

ゼーレにおける、最も理想的な形態は、

 

E計画により生み出されたエヴァ(アダム計画で作成されたアダムをベースとしている)を使用し、全てのシトを倒し、生命の木を出現させること。

そしてアダム計画により再生されたオリジナルアダムを生命の木に磔にし、ロンギヌスの槍でさし、贖罪を行い、始源へと回帰を果たすことです。(これらについては別論。ひとまず「ストーリー解題」「アダム計画」参照)

 

もちろん、ゼーレの計画は様々なアクシデントにより、予定より大きくズレました。 また、2004年のユイの初号機への融合のためもあり、ゲンドウは全く別の人類補完計画を想定しました(これについても別論予定。ひとまずは「ストーリー解題」参照)。

しかしながら、上記の形態が、最も純粋なゼーレの理想的計画であったと思われます。


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