映画公開2日目(2006年3月4日)に、映画「ZガンダムV 星の鼓動は愛」を観てきました。
映画「ZガンダムV 星の鼓動は愛」 感想と簡単な論評
映画公開2日目(2006年3月4日)に、映画「ZガンダムV 星の鼓動は愛」を観てきました。
いろいろ思う点はあるのですが、とりあえず核心のラストに関する感想及び考察です。
今回は、とにかく「衝撃のラスト」を前面に出したプロモーションがかけられていました。
しかし、その反動からか、私は、正直言って映画館でラストの展開を見たときには、「ウーム・・TV版のカミーユの精神崩壊シーンだけ取り替えてそのままハッピーエンドにもっていっただけではないか・・」と思いました。
というのも、もともと、ラストの部分で誰かが助けに来ることはポスターでわかっていましたし、また、ハッピーエンドになることも第一弾公開前から様々なインタビューでわかっていたので、「衝撃のラスト」といっても、「助けにくるのが誰か?」に関心が絞られていたからです。
衝撃を与えるような救出者とは誰か?
それでハッピーエンドにつながる展開とは?
「第二部で大きく扱われていたサラが死なず、ラストで助けるに来るのかな?」
「シロッコの怨念がカミーユにとりつくシーンは削除だろう。なぜなら、あれもカミーユ崩壊の直接的原因のひとつだから。シロッコも面白いキャラだし死ななかったりして・・・」
「予想外といえば、ハマーンが助けに来るという設定もあるかな?小説版ではハマーンとカミーユは結構いい雰囲気だったし」
「男が助けるとすると、シャアかな・・あとは、意表をついてアムロがやってくるとか・・」
などなど、何とはなしにいろいろ想像しては、当たってはつまらないので考えるのを自分に禁じたものでした。
ところが・・助けに来たのは、何とファでした。
しかも、シロッコの怨念受けるところまでTV版と同じで、ファが心配してやってくるところも同じで、最後の崩壊シーンの部分だけが、そのままハッピーエンドに変わっていました・・
ウーム・・ハッピーエンドで、いい話といえなくはないけど、衝撃のラストというよりは、当たり前すぎて・・しかも、宇宙で抱き合うのはF91と同じだし・・
と、変な意味で衝撃を受けながら、
「まあ、たしかにTVのラストじゃ映画にならないしな・・」
「初めて見た人で、F91も知らない人には、いいエンディングなのかな?」
などと自分を納得させようと思いました。
しかし、いくつものインタビューで、富野監督は、「昔Zを見た世代にこそ、今回のラストを見て欲しい」と言っていたのを思い起こし、もう一度富野監督の様々なインタビューを読み返したところ、ようやく、富野監督が映画版Zガンダムで何を表現しようとし、ラストがなぜ衝撃のラストなのか、理解できたような気がしました。
以下、その理解をまとめたものです。
映画版 Zガンダム論 ラストはどこがすごいのか?
なお、ここでは、ラスト以外で気になった点をいくつかあげると・・
1.シャアのダカール演説は、やっぱり完全削除であった!!
これはかなり残念です!映画館でこそ、シャアの演説を聴いてみたかった!!
2.ミネバの謎の失踪の真実が明らかに!
長年、シャアが連れ出したのでは?とか言われていましたが、そういうわけではなかったようです。ついでに言うと、この件も含め、映画版のハマーンは、テレビ版より立派です。
テレビだと、シャアへの思いが断ち切れない感じが強かったのですが、映画ではもっとサバサバしています。
ラストでシャアを誘うのはミネバに頼まれたからだし、百式爆発時のテレビの「私とともに来てくれれば・・」のセリフもなくなっていました。
3.最後にファン・サービス(?)で、ホワイト・ベースのクルー達の姿が描かれていた。
昔からのファンにはうれしいシーンです。
でも、アムロのそばにベルトーチカがいるなら、やはり「逆襲のシャア」は「ベルトーチカ・チルドレン」で作って欲しかった・・
(これについての詳細は、35歳以上指定映画としての逆襲のシャアを参照ください)
4.レコアについて
今回三部作、テレビ版とは異なる演出が小刻みに多かったレコア。
しかし、第三部で結構出番がありました。
これだったら、「辱め」の話を残した方が、レコアの苦しみと怒りが理解しやすくなり、裏切りや、最後のセリフにもスムーズにつながったのではないでしょうか?
(これについての詳細は、レコア・ロンド論・・「辱め」から「レコア崇拝」の可能性までを参照ください)
5.劇場シーンは残っていた!
私にとって、あの劇場での討論シーンは、全ガンダムシリーズの全ての場面の中でも、最も大切な場面のひとつなのです。
削られていなくて良かった。
(これについての詳細はシャア・アズナブル専用ページ(機動戦士ガンダム〜逆襲のシャア)の論文を参照ください)
ともかく、Zガンダムを初めて見てから20年・・当時は中学生だった私も、いい年になりました。
中学時代になら、おそらくアクションシーン中心に楽しみながら見ていたのですが、この歳になると、まず考えたことが、上述の映画Zガンダム論のような内容でした・・
やはり私も会社で相当なストレスの中でやっていますので・・とくにこの第3作は、エンターテイメント作品として楽しんだというよりも、富野監督のメッセージが、非常に切実に感じられました。
そのうち、3部続けてみて見ると、またいろいろ思うことがあると思いますので、追加でいろいろ書こうと思います。