宮崎駿監督によるルパン三世の復活案(第三シリーズと映画第三弾) 1982年 「もし、ルパンのシリーズの第3弾目をやるとしたら、僕は、徹底的に正義の味方として描きますね。正義の味方って言っても、今、世の中にひしめき始めているスケールの大きな犯罪を相手にする・・・。 まっさらな人間として、ルパン三世がここにいて、それで自由にいろいろな事をやらせていくことができるのだったら、全然、正義の味方ぶりをしないでも、"シャキッ”っとやってみせることができると思うんですよ。ところが、今まで、さんざんカッコつけてくだらない事をやりすぎているんですよね。 たとえば、自分が全部・・百本つくった訳でなくとも、百本そういうのがあるってことは、その百本をしょったルパンがそこにいるってことですよ。 それを消すことはできないんですね。 たとえば誰かがこうだと思ってルパンを作ろうとするの。ところが、今まで見ていた人は、そのルパンに対して、全部・・百本のルパンを前提にして、・・・百本のルパンのフィルターを通して見るんですよ。 一つのシリーズってものは、そういう物だと思うんですよね。否応なく勝手に歩き回り始めるんですよ。自分が『こうじゃない』と思ってもね。それを受け取った、たくさんの人達が、『私は五右ェ門』をこう思う『いや、この人はこうだ』って、皆、意見が違うんです。それでTVを眺めて、これはいいの、好きの、嫌いのというでしょ。それは、作品として、もう、まっさらな所から作ることができないって事でしょ。」 「だから『こういうルパンだと自分は思っています』って、僕がいくらわめいても、『そうじゃない』って言う人もいっぱいいるもの。もはや、どっちがいいか、悪いかじゃないの」 「ただ、もう一本、劇場用をやるっていたら、ロボット兵(ラムダ)の話を1時間40分かけて壮絶にやりたいと思うんですよね。あれは、TV1本でおさまるような話じゃないから。あれが100匹、東京の中に逃げちゃったとか・・いう話にして、ホントに立ち向かわなければいけないってことにルパンが追い込まれていく物語にしたら・・ちょっと怖ろしい話になるんですけどね。それでも、どこかでやっぱり、富士山が好きだーって言える男であってほしいなァと思うし」 −−−−−えっ、富士山が好きなんですか? 「ハハ、勝手に思っているだけなんですけれども。あの人はどこへ行っても日本人でしょ。フランス人と日本人の混血児ってことになっているんです。でも、あの顔は日本人ですよ。 そういうことであったら一生懸命になるじゃないですか。いや、そういうフリしないでも、私利私欲で盗むなんてもうすっかり飽きただろうと思ったんですよ。むしろお金がない人でしょ。そういうことにこだわらない、解放されている人間っていう風にしたいですよね。そうするとルパンはもう、やることやり尽くしていて、もう150本もあり、旧作も23本あり・・やることないですよ。それが一生懸命になったっていうのは何か!?・・ですよね。 それは、また戦争を起こそうとしている人間がいるっていう問題しかないんじゃないかと思ったから、ああいう話になっちゃったんですよ。 ハハハ・・・。もう、弁解が多過ぎてかなわないですね。 だから早く忘れたいと思ってるんですよ。
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