ルパンに出会ったのですか? ルパンと出会ったのは1970年初等、高度経済成長期のまっただなか。誰もがマイカーを持ちたがり、人々はなかばはしゃぎ気味に生きていた時代でした。そんなときだったから、ちょっとカゲのさした、アンニュイなルパンが生きたのです。 うかれ調子の世の中に向けて機関銃をぶっぱなすルパンはわれわれの希望でもあったのです。 ところが、いまやルパンの世界より現実の世界の中のほうがあこぎになってしまったじゃありませんか。もっと悲惨に、もっと複雑怪奇に。もうルパンがいくら銃口むけてもダメですよ。そんなことは無意味です。それでもルパンはワルサーをにぎりつづけている。 なんにむかって、どこに向けて撃っているんでしょうね。 むかしのルパンは人殺しはしませんでした。ところがいまのルパンは目標がないから、人間がマトなんです。世の中といっしょになって複雑怪奇な殺戮をくり返していますよ。 ルパンがほんとうに好きならとうに描くのをやめるべきですね。 そうだな、いまの時代にルパンを描くなら、ワルサーも持たず、車にも乗らず、ラッタッタで走りまわらせるほうが、よほどルパンらしい姿だと思いますが・・・。
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