思っていません。無理ですね。僕は、このアニメーション映画をつくる仕事を 駄菓子屋の商売だと思っていますから。 そういう事は、別の立派な人が、沢山本に書いています。 もう殺してしまったのです。神様を。森の奥に住んでいる神様を日本人は殺し てしまった。でも殺してしまったことは、忘れない方がよいと思っています。 そのおかげで、僕らが物質的には苦労しないで、毎日、「またほか弁だな」「 またコンビニ弁当だな」と思いつつも喰えるようになった。文明とは、そうい うものです。 神がいましたら、やっぱり、その富を奪うことはできないから、人間は、もっ と貧乏だったはずです。文明というのは、人類が自然からの収奪によって、成 立しているのですから。文明を全否定したいとは、思わないです。 僕も池に入ると、「とんぼやめだかの数が増えたぞ、減ったぞ」と言って喜ん でいます。だから、チリメンジャコを一握み喰いながら、これらを育てるのに 自然はどれほどの労力を払っているのかとおもうと、「罪深い事だなぁ」と一 瞬おもう。でも「おいしいなぁ」と食べる。そういう矛盾した存在でもあるの です。人間は。 だから、しようがない。 しようがないから、儲かればほかの生き物の方にもまわそうよ、とおもう。 全部譲り渡す気は起こらないけど。 (『「もののけ姫」を読み解く』より)
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