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作品のメッセージは の変更点 :: アニメの部屋

xpwiki:作品のメッセージは の変更点

  
現: 2016-11-06 (日) 18:00:31 ゲスト[h3G7fWoxZgU] ソース[3] 編集[4]
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 +メッセージで僕は映画を作りませんから。
 +ただ、この映画が現代に共通する点があるとしたら、それは自然と人間の関わ
 +り合いだと思います。
 +僕らは、「自然に優しい」とか、「宇宙船地球号」などと一言も言った事はな
 +いんです。「自然に優しい映画を作るジブリ」というブランドが勝手に横行す
 +るようになって、それが嫌なのですよ。
 +そう誤解されても、しょうがないと思わざるを得ないのですけれど、この十数
 +年、とにかく色々と作品を作ってきて、この大きな転換点にきているのに、「
 +自然に優しいジブリ」で終りたくなかったのです。
 +だから、自然と人間との関わり合いをもっと突き詰めて追求して行く。すると
 +、人間のやってきた事の業というか、文明の本質にある攻撃性とかが見えてく
 +る。散々、相手を痛めつけて、おとなしくさせてしまってから、「周りに残っ
 +た者に優しくしよう」と言っているに過ぎないんです。
 +文明の本質みたいなことをちゃんと描かないで、「優しくする人、よい人」「
 +優しくない人、悪い人」という考え方で切り捨てていくのは、間違いだと思い
 +ます。
 +優しかろうが、優しくなかろうが、人間は自然に対して極めて凶暴に振る舞っ
 +てきたんです。
 +それで、自分達が選ばれた者であるとか、この人類が一番高等な生き物である
 +とか言い出す。ある時には、人類の中のある部分が、一番高等だと順番をつけ
 +たがる。今また、「優しくする人、よい人」「優しくない人、悪い人」という
 +判断の単純化が進んでいる。そんなものではないんです。よいとか悪いとかで
 +はなくて。
 +
 +こういう人間の本質みたいなものを据えた、自然と人間との関わり合いを描く
 +映画を作りたいと思っています。それはメッセージというものでもなく、自分
 +自身に回答が出ていないから、甚だ迷走しながら映画を作ったんです。
 +この映画は、「悪い人間が森を焼き払うから正しい人がそれを止めた」という
 +映画ではないのです。
 +よい人間が森を焼き払う。それをどう受けとめるかなんです。
 +ハイチのように、実際にそういう状況があります。自分の横にいる子供を飢え
 +させないために、木を伐るのですよ。貧乏で石油ストーブもないし、電熱器も
 +ないから、炭がいるのです。
 +そのために、木を伐って全土が丸坊主になり、さらに漁業もだめになる。何と
 +かしないとハイチは滅びます。軍事独裁政権が悪いとか民主主義がいいとか言
 +ってもだめなんです。
 +(『「もののけ姫」を読み解く』より)
  

  • 作品のメッセージは のバックアップ差分(No. All)
    • 現: 2016-11-06 (日) 18:00:31 ゲスト[h3G7fWoxZgU]