現: 2016-11-06 (日) 17:59:46 yasuaki[h3G7fWoxZgU] [3] [4] | |||
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+ | もののけ姫は、明らかに、今までの宮崎アニメと異なり、ハードな描写が多い。 | ||
+ | マンガでは「砂漠の民」があるが、アニメで宮崎監督がここまで描写したのは初めてだろう。 | ||
+ | 「僕はそれが残酷にならないようにしたつもりですけどね。そういう描写で爽快感を得るような、スプラッタものにするつもりは全然なかった。ただ、人の生き死にの問題を扱わざるを得ないから、それをきれいごとで描いてもしょうがない。人間同士の戦いだけじゃなく、人間ともののけたちの戦いもあって、当然、死者もたくさん出る。そういう世界なんですよ。 | ||
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+ | まして、登場人物がみんな"人の命が何よりも大切だ”なんて考えるよりも、どうやって生きるかと一生懸命にもがいている中で、死ぬところだけは隠して見せないようにするたんていうことなら、こういう作品はつくらないほうがいいんです。残酷なシーンもあるけど、それは枝葉末節にすぎないんであってね。 | ||
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+ | まあ、ジブリという会社はおとなしい作品ばかりつくっているというイメージがあるし、僕もそういう部分をいままでずっと抑えてきたから、それで目立つということはあるかも知れませんね。 | ||
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+ | ただ、さっきも言ったように、この素材を扱うにあたってはもう抑える必要はないと思ったので、あえて踏み込んだということなんです。 | ||
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+ | 正しいことを正しい人が行なうのではなくて、正しいことをやっている人が悪人で、悪人だと思われていた人が非常に善良であったり・・といったことを踏まえないと描けない。善悪の判断だけでつくる映画ではない、ということですね」(ニュータイプ・マーク2より) | ||
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+ | 「ええ、覚悟してやろうと。それから、自然に優しいジブリなんて思い込んで | ||
+ | いる奴を蹴飛ばしてやろうと思ったんです。なにをトンカチなことを言ってる | ||
+ | んだと。俺はそんなもんじゃないはずだってわかってるはずだと。実際はわか | ||
+ | ってないんですけどね、当然ね。」 | ||
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+ | そう誤解されても、しょうがないと思わざるを得ないのですけれど、この十数 | ||
+ | 年、とにかく色々と作品を作ってきて、この大きな転換点にきているのに、「 | ||
+ | 自然に優しいジブリ」で終りたくなかったのです。 | ||
+ | だから、自然と人間との関わり合いをもっと突き詰めて追求して行く。すると | ||
+ | 、人間のやってきた事の業というか、文明の本質にある攻撃性とかが見えてく | ||
+ | る。散々、相手を痛めつけて、おとなしくさせてしまってから、「周りに残っ | ||
+ | た者に優しくしよう」と言っているに過ぎないんです。 | ||
+ | 文明の本質みたいなことをちゃんと描かないで、「優しくする人、よい人」「 | ||
+ | 優しくない人、悪い人」という考え方で切り捨てていくのは、間違いだと思い | ||
+ | ます。 | ||
+ | 優しかろうが、優しくなかろうが、人間は自然に対して極めて凶暴に振る舞っ | ||
+ | てきたんです。 | ||
+ | それで、自分達が選ばれた者であるとか、この人類が一番高等な生き物である | ||
+ | とか言い出す。ある時には、人類の中のある部分が、一番高等だと順番をつけ | ||
+ | たがる。今また、「優しくする人、よい人」「優しくない人、悪い人」という | ||
+ | 判断の単純化が進んでいる。そんなものではないんです。よいとか悪いとかで | ||
+ | はなくて。(『「もののけ姫」を読み解く』より) |
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