5.ハウルは何故城を動かしたのか
城の構造上、実体は実は普通の家です。(参照#3.城の構造はどうなっているのか?そして、ソフィーは城をどうしたかったのか?なぜ、ソフィーの魔法は解けたのか?[1])
では、何故、ハウルは城を動かす必要があったのでしょうか。
小説ではハウルはソフィーに3つの理由をあげています。
「職業柄、みんなに力と邪悪さを印象づけたかったんだ。それに王様にぼくのことをよく思われたくないんだ。おまけに、去年、とても力のある奴を侮辱して怒らしちゃってね。だから、両方を避けたいんだ。」
たしかに、物語を見ても、ハウルは荒地の魔女と王様(もしくはサリマン)から逃げています。
ハウルにしては、やけに論理的でわかりやすい説明ですが、この3つの理由だけでは正確ではありません。
ハウルは、ソフィーに言いづらいもう一つの大きな理由をもっているのです。
それは、ハウルが心をうばった娘さんたちが、ふられて悲嘆に沈み、涙ながらにハウルの家におしかけたり、その娘さんの親戚が怒って殴りこみにきたりするからです。
マイケル(マルクル)「こんなふうにハウルさんがやたらに恋に落ちるせいで、ぼくらがどれ程やっかいな目にあってきたか、ご存じないでしょ。
訴えられるのはしょっちゅうで、剣をかざしたもとの恋人に、めん棒を持った母親に、こん棒の父親と叔父さんたちが押しかけてくるんですよ。
それから叔母さんたち。恐ろしいのなんのって、帽子ピンでつこうと追いかけてくるんです。
最悪なのが、相手の女の子がここをつきとめた時ですね。戸口に来て、めそめそ泣くでしょう。ハウルさんは裏口から逃げ出しちゃうから、ぼくとカルシファーで相手をしなきゃならないんだ」
ハウルが城を動かしたりあっちこっちにドアをつなげた最大の理由は、実はこれかもしれません。
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