*以下は、2005年にcocologに掲載したものの移行分となります。
富野作品用掲示板を作ったばかりの頃、掲示板で、ガンガルさんに、「逆襲のギガンティス」(長谷川裕一作)のことを教わりました。
内容がガンダム対イデオンと聞いて興味を持ったものの、本屋に行ってもみつからなかったため、長い間忘れていました。
最近、富野作品ページを拡充しているうちに思い出し、amazonで買おうかと調べたところ、本はとっくに切れており、古本がプレミア化していることがわかり、あせりました。
「何でガンダムの漫画にプレミアがつくんだ・・?」
どうもタイミングにより(出品者により?)、随分値段が違うようなので、比較的手が出やすい値段のときに発見して無事購入。本日、ようやく読むことができました。
(参考)安かったら買う価値あります。
率直に言ってとても面白かったです。
アムロとシャアが共同でイデオンと戦う設定といい、木星の謎、行方不明のミネバ・ザビ、ジュドー・アーシタのその後、「ヨシユキ・トミノ」という木星帰りの小説家の話(笑)など、テレビ本編では抜け落ちた話を上手くあわせて、ガンダム、イデオン、Zガンダム、ZZガンダムといった作品を見ている人なら、とても面白く読めます。
私にとっての、「スーパーロボット大戦」ですね。
そういうわけで、漫画そのものにはとても満足したのですが、一点考えさせられたのは、ガンダムとイデオンの関係です。
TVでは、基本的には別作品なのですが、長谷川氏は、この「逆襲のギガンティス」の中で、150億年前にイデの発動が起こり、その後再生した人類が宇宙世紀に至りガンダムの物語が始まるとしています。
しかしながら、時々思うのですが、富野監督は、一時、本当にイデオンとガンダムの物語を真面目にリンクさせようとしていたのではないでしょうか?
その作品は、「Vガンダム」です。最初にテレビ版を見たとき非常に不思議だったのは、「カルル」という名前の赤ん坊が登場することです。「カルル」という名前を聞いた瞬間、ギョッとしてしまいました。
言うまでもなく、イデオンにおける最大の対立と悲劇が、「ハルル」と「カララ」という姉妹の憎しみあいであり、それが人類の破滅につながっていくからです。
この赤ん坊は、なぜ、「カルル」なんだろう・・どう考えてもハルル+カララだよなぁ・・など考えましたが、それ以上それらしい話もないので、思い過ごしかと考えました。
ところが、小説版のVガンダムを読み、テレビ版では不明瞭だった部分が多少は理解できるようになると、「カルル」という赤ん坊のネーミングはやはり偶然ではない気がしてきました。
テレビ版だとはっきりしないのですが、Vガンダムのエンジェル・ハイロゥは、サイキッカー達の意志と肉体を取り込んで宇宙じゅうに散らばったようなのです。
平和への願いを持った人々の心と肉体を取り込んだマシン・・言うまでもなく、イデオンの第六文明人そのものです。
他にもイデオンへのリンクを考えさせる話がいくつかあり、あの赤ん坊の「カルル」というネーミングは、やはりイデオンとの関係に気づくように意図的につけられた名前だという気がします。
そう考えると、Vガンダムで突如サイキッカーが登場したのも、理解できる気がします。イデオンとのリンクのためでしょう。
つまり、
人類は宇宙へ進出→ニュータイプの誕生(ガンダム)→強化人間の登場(Zガンダム)→結局、ニュータイプは戦争の道具を越えられず→人間の心を強制的に平和にするエンジェル・ハイロゥの登場(Vガンダム)→サイキッカー達の祈りと一体化→宇宙中に分裂→・・・・・→宇宙移民が進み、当たり前となる→人間の意志と融合した謎のマシン発見(イデオン)
というように、論理的に(という程でもないが・・・)ガンダムの世界からイデオンの世界につながる道筋がたてられるような気がします。
考えてみれば、ガンダムは宇宙移民が始まったタイミングの物語。イデオンは、移民が当たり前になってはるかに時間がたった後の物語。そう考えると、別の星で、謎の遺跡としてエンジェル・ハイロゥの断片を見つけてもおかしくはない気がします。
これらの点を考慮すると、富野監督の考えの中に、ガンダムとイデオンとの融合という発想があった可能性はあると思います。
ただし、それは、「逆襲のギガンティス」とは逆で、ガンダムが先でイデオンが後なのではないかと思います。そして、その結節点はVガンダムだったのでしょう。
このあたりは、Vガンダムのページの中の論考のひとつとして、ガンダム世界からイデオン世界へのリンクの考察を、より詳細に行おうとお思います。