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【TAAF2019】高畑勲追悼特集4:この映画を完成させられたのは“あきらめた”から。「かぐや姫の物語」上映会&トークイベントレポート (2019/3/12 16:20:00)
2019年3月8日〜11日にかけての4日間、東京・池袋にて開催された「東京アニメアワードフェスティバル2019(TAAF2019)」。今回のTAAF2019では、昨年惜しくも他界された、日本を代表するアニメーション監督、高畑勲さんをしのぶ「高畑勲追悼企画」が行われている。ここではそのうち、3月10日(日)に池袋シネマ・ロサで行われた 「高畑勲追悼企画4 -高畑勲が向かおうとしたところ- 『かぐや姫の物語』」 の上映会とその後に行われたトークイベントについてレポートする。
「かぐや姫の物語」は、2013年に公開された、高畑監督による劇場版長編アニメーション作品。1999年に劇場公開された「ホーホケキョ
となりの山田くん」以来、実に14年ぶりとなる高畑監督による作品であり、図らずも遺作となった作品でもある。本作に関するエピソードは数多く、企画開始から8年という長い歳月がかかったことや、その間に50億円を超える制作費が投じられたこと、さらに全編を通じて、筆で描いたような淡いタッチの絵で表現し抜いたことなど、まさに高畑作品の総決算とも言えるような大作となっている。なお、本作で翁(おきな)の声を演じた俳優の地井武男さんが収録中にお亡くなりになり、その後を俳優の三宅裕司さんが受けて、違和感なく見事に演じきったというエピソードも、当時大きな話題となった。
ストーリーは、日本人の多くに親しまれている古典中の古典「竹取物語」をほぼ忠実になぞったもの。竹から生まれたかぐや姫が、翁(おきな)と媼(おうな)によってすくすくと育てられるが、成人へと成長していくにつれ、そのあまりの美貌に、さまざまな貴族たちから求婚されるようになる。その求婚をはねつけるように、かぐや姫はその貴族たちに、決して成功しないであろう無理難題を突きつけ、さらには帝(みかど)からも求婚を迫られるが、そのことをきっかけに、かぐや姫は己の運命を知り、やがて月へと帰って行く。
誰もが知っているであろうこの古典文学をベースに、高畑勲的視点を交え、かぐや姫がそのとき何を思ったのか、どのような葛藤を経て、どのような結末を選ぶのか、といった物語には書かれなかったドラマを、まさに日本そのものを現しているとも言える見事な筆致のアニメーションで描ききった本作。前述したように、本作の製作にはかなりの年月と費用が費やされたわけだが、その間、高畑監督は何を考え、どうふるまっていたのか。本作のプロデューサーとして高畑監督を間近で見ていた、元スタジオジブリ所属で、現・スタジオポノック代表取締役である西村義明さんと、東京藝術大学・特任准教授のアニメーション研究家、イラン・グェンさんとのフリートークが、上映後に催された。
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