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Leaving Neverland: なぜ私たちは故人の名誉を汚すことを許すべきではないのか (2019/2/27 21:44:27)
その男、ウェイド・ロブソンは2005年の児童性的虐待裁判においてジャクソンの弁護側として宣誓証言し、ジャクソンは彼に「決して」触らなかったと主張した。しかしジャクソンが自分自身を守れなくなった今、ロブソンは考えを変え、抑圧された記憶について語った。彼の訴えにはその後もう一人のジャクソンの若き友人が加わった。ジェームズ・セイフチャックだ。
ロブソンとセイフチャックはマイケル・ジャクソン・エステートを、そしてエステートが管理する会社を訴えた。しかし2017年12月、その訴訟は棄却された。訴訟を起こすのが遅すぎると判断されたのだ。マイケル・ジャクソン・エステートは「このような話は常に金目的だ、真実の追求ではない」と主張した。しかしロブソンとセイフチャックは了解しなかった。先週、HBOとチャンネル4が、二人の少年に対する性的虐待でジャクソンを非難するドキュメンタリーを制作したとのニュースが突如流れた。
「Leaving Neverland」と題された2部構成の映像は今月末(1月末)にアメリカ・ユタ州のサンダンス映画祭でデビューし、来春にはそれぞれのネットワークでオンエアされる。「現在30代の二人の少年が、ジャクソンからどのように性的虐待を受けたのか、どのように折り合いをつけてきたのかを語る」とあらすじには記されている。彼らや彼らが起こした裁判について知識を持たない者がこれを読めば、虐待が事実であると思いかねない。だが、このことについて証拠はゼロであり、単なる申し立てである。
ジャクソンは抗弁できず、エステートや家族はこのドキュメンタリーの放映を止めさせる権利がない。ジャクソンのような故人に関して、メディアはありとあらゆることを語ることができるが、それについて何かできる者はいないのだ。
それではなぜ、故人の評判を貶めるようなことが自由にできるのだろうか?
英国と米国の法の下では、故人は誹謗中傷され得ないということになっている。これは、評判というものは個人の権利であり、亡くなってしまえばもはや損害は受けないという考え方から来ている。名誉棄損についても個人の法的行為とみなされ、代理人を任命したり起用したりすることはできない。
しかしジャクソンは亡くなっているかもしれないが、非常に多くのことが危機に瀕している。最も重要なのは、このような悪質な主張が彼の子供たちに及ぼすインパクトだ。子供たちは父親が性的虐待者であるという主張に大きな影響を受けるだろう。
ジャクソンの評価は、2005年の裁判ですべての容疑で無罪の評決を受けて以来、世界中で揺るぎない回復を見せた。2009年に大々的に復帰するとジャクソンが発表した際は、彼は再びキング・オブ・ポップと見なされ、そして彼の死はそのイメージをさらに高めることになった。今や人々は、彼の私生活の混乱よりも彼の音楽やレガシーについて語っている。
しかしこのドキュメンタリーはそのような前進の多くを元に戻すものだ。家族にとって何か希望はあるのだろうか?ジャクソンの親族として彼らにはどのような権利があるのだろうか?
興味深いのは2014年の裁判(Putitstin v Ukraine)での判断だ。この裁判では、申立人は亡き父親がある記事によって名誉を傷つけられたと訴えていたが、欧州人権裁判所は、家族の中の故人の評判は、欧州人権条約第8条の範囲に含まれるとすることを受け入れたのである。これは、故人の評判が、特定の条件下では存命の親族の個人や家族の生活を尊重する権利に影響する可能性があるからである。
"Putitstin v Ukraine"のケースでは申立人は、影響が極めて軽微だとの理由で敗訴した。棄却の一方で裁判所は、個人や家族の生活のための権利の侵害という論拠に基づいた主張であれば勝訴していた可能性があると述べた。とは言え、ヨーロッパの裁判所では、故人の評判に関連する多くの裁判で、勝訴したものはないとみなされている。
私には嘆き声が聞こえる。ジミー・サヴィルについてはどうだ?そう、彼のぞっとする犯罪が偽りなく明かされ、その被害者たちが名乗り出ることができると思えるようになったのは彼の死後のことである。
だがそこには著しい違いがある。
サヴィルの死後、警察は6年に渡る児童性的虐待容疑で捜査に乗り出した。英国中の14の警察署から300人以上もの推定被害者による証言を元に、捜査員らは400以上の事情聴取を行っている。もし当局がジャクソンの死後に捜査をしていれば、もし違法行為の証拠が存在していれば、まったく違ったシナリオになっているだろう。文句の言いようがない。
しかし、メディアには何が出版されるのかを確認し、真実が放送されるようにする責任がある。証拠もなしに、なぜHBOとチャンネル4はロブソンとセイフチャックが本当に虐待を受けたと信じているのか。もちろん、親族や、この場合ではファンたちからの苦情は、調査報道による不都合な事実の暴露に対して影響力を持つべきではない。しかし、そこに問題が潜んでいるのだ。調査報道あるいは警察の捜査ではジャクソンによる不法行為は何一つ明らかにされていない。
証拠を欠いていてさえも、メディアはジャクソンのような人々を、邪悪な人物であると世界に信じさせる力をもっているのである。
私にはそれがどうしても納得できない。
Source: MJOnline,The Official Online Team of The Michael Jackson Estate™/ cornwalllive.com /MJJFANCLUB.JP