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エステートは話し合いを希望、「Leaving Neverland」はHBOの大恥になると警告 (2019/2/19 0:40:01)
ハリウッド・レポーターではその書簡を入手した。下記に全文を掲載する。
書簡は弁護士のハワード・ワイツマンからHBOの最高経営責任者リチャード・プレプラー氏に宛てられたもので、「Leaving Neverland」は”明白な偏向かつセンセーショナルな番組”でありジャーナリズムの倫理を無視したものだとしている。特にエステートが不快感を示しているのは、ドキュメンタリー制作者のダン・リード氏がウェイド・ロブソンとジェームズ・セイフチャックの主張に対するエステートの見方を取材していないことで、二人の告発者による訴訟により”彼らには信用というものが全くないということが極めて明らか”だとHBOに対して述べている。
この書簡は放映をやめるよう法的に脅迫するようなことは避けているものの、HBOの放映決定を攻撃している。
ワイツマンはHBOが現在控訴準備中の”ロブソンとセイフチャックの法廷戦略の一部として利用されている”とし、HBOとダン・リード氏が”意図的に”彼らのストーリーの信ぴょう性を否定するであろう人物へのインタビューを避けていると非難している。
また、証言で二人の告発者の”ウソはばれている”とし、HBOの決定が彼らの信用を保証してしまっていると非難している。
ワイツマンは、”これらのこと、つまり誰でも労せず手に入れられる事実を考慮した上で、なぜHBOが彼ら二人の嘘つきとダン・リード監督の言葉のみに基づいたドキュメンタリーを制作するのでしょうか?なぜHBOは、ロブソンとセイフチャックによる間違った主張に対して数年を費やして訴訟で勝利したエステートに何らコメントを求めずにこのドキュメンタリーを制作したのでしょうか?HBOにとって同じような扱いのアーティストが他にいるのでしょうか?HBOは、他のアーティストに対し、このような深刻な告発を行うにあたって意見を聞かないのでしょうか?”と書いている。
エステートは、HBOが倫理を重視するならドキュメンタリーの放映はしないだろうと強く主張している。
”HBOが死後10年にして、タブロイドの”マイケル・ジャクソンの周囲の雑音”に合流したということは本当に悲しいことです。HBOが、NetflixやAmazonその他の最近のコンテンツ・プロバイダーとの深刻な競争圧力にさらされていることは私たちもわかっています。しかし視聴者を取り戻すためにこのようなレベルにまで身を落とすとは恥ずべきことです。HBOとこのドキュメンタリーの共同制作者たちは成功を収めないでしょう。HBOの歴史上もっとも恥ずべき出来事として歴史に残るでしょう。献身的なマイケルのファンたち、世界中の良心的人々は、HBOの振る舞いを永遠に許さないでしょう”。
HBOは本書簡に対する返答の声明をハリウッド・レポーターに送付している。
”私たちの計画に変更はありません。二つのパートからなるドキュメンタリー「LEAVING NEVERLAND」は3月3日(日)と3月4日(月)に放映されます。ダン・リード氏は受賞歴もある映画製作者であり、虐待からの生還者の証言を注意深くドキュメンタリー化しています。作品を見るまでは判断は控えるべきと考えます”。
以下、HBO宛のエステートからの書簡全文
プレプラー殿
私たちは、マイケル・ジャクソン・エステートの共同遺言執行人および、故マイケル・ジャクソンに関連する知的財産やその他無形財産への権利を有するすべての者(”エステート”あるいは”ジャクソン・エステート”と一括で表記)の代理人です。
HBOが出資し今春放映する意向とされる、明白な偏向かつセンセーショナルな番組、「Leaving Neverland」(HBOその他より”ドキュメンタリー”であると紹介されている)について申し上げます。エステートはこの番組を1月初旬、サンダンス映画祭でプレミアされると報道陣に発表されて初めて知りました。貴殿はご存知のはずですが、”ドキュメンタリー作家”とされるダン・リード氏(あるいは番組制作関係者)はドキュメンタリー制作の規範に反し、同番組の主題であるところの(完全に誤りの)主張に対する見解や反論を得ようとエステートに接触することは一切ありませんでした。さらに、番組の根拠とは矛盾する証拠を提示しうる人物には誰一人として相談しておりません。これはダン・リード氏が公に認めているところです。
この番組の発表があった当初、HBOや共同制作者らはドキュメンタリーの二人の主要人物について明かさず、”二人の男性”であるのみ言及していました。しかしながら発表時の”二人の男性”という短い記述から、エステートは彼らが誰であるのか正確にわかっていました。すなわち、ウェイド・ロブソンとジェームズ・セイフチャックです。エステートがこれを知ったのはドキュメンタリーについての内部の”情報源”がいるためではなく(そのような者は一切おりません)、彼ら二人の男が長年にわたり誤った”ストーリー”で争っているからです。最も注目すべきはエステートに対して敗れた一連の訴訟です。エステートは遠慮なく彼らの素性をメディアに助言します。エステートは、このドキュメンタリーに関わりうる”被害者”は現れないと100%の自信があります(なぜなら、2013年に多額の金銭を求めた訴訟を起こした当時のロブソンとセイフチャックの弁護士の見通しに反して、彼ら二人以外に確かな大勢の”被害者”など現れなかったからです)。HBOと共同制作者らはその後認めざるをえませんでした。すなわち、エステートの”見通しが正しく”、主要人物である二人はエステートを訴えた偽証者であり、その訴訟はすべて棄却されたのです(しかし下記で触れている通り、現在控訴中です)。
エステートとロブソン、セイフチャックとは係争中であり、4件の訴訟については棄却されています(現在、ロブソンは訴訟費用としてエステートに対し7000ドルを負っています。同様にセイフチャックも数千ドルを負っています)。これらの訴訟でエステートはロブソンとセイフチャックに関する情報を得ています。それによると、彼らには信用というものが全くないということが極めて明らかです。以下に、その一部について議論しますが、ここで議論される彼らについての情報はまさに氷山の一角です。もしHBOが、(彼らのわいせつな主張を受け入れるのではなくむしろ)最も基本的なジャーナリストとしての倫理を実践していれば、このような恥ずかしいプロジェクトにかかわる前にもっといろいろなことがわかっていたでしょう。これこそが、ダン・リード氏とHBOの制作陣がロブソンとセイフチャックを隠そうとしていた理由です。ダン・リード氏が、裁判のことをよく知っているマイケル・ジャクソンの家族と友人、エステート、数百万人のファンたちが制作前にロブソンとセイフチャックを偽物ぶりを暴くことをわかっていたからこそこのような隠蔽が行われたのです。
HBOはロブソンとセイフチャックの法廷戦略の一部として利用されている
ロブソンとセイフチャックは棄却裁定に対する控訴を模索しており、今年には審問が行われます。彼らの訴訟が法廷において未決着で、メディアによる多くの報道がなされている中、ロブソンとセイフチャック、および弁護士らは計画的なキャンペーンを実施しており、メディアの中で裁判を行おうとしています。その主たる手段は下品なタブロイドへの偽情報のリークです。HBOがなんらかの調査をしていれば、係争中の主要争点の判断が下されていない中、ロブソンとセイフチャックの弁護士らが売りさばいたマイケル・ジャクソンに関する誤った主張が毎年のように突如タブロイド上にあふれかえるということに気が付いていたでしょう。第一審はこうした大量の誤った主張の影響は受けませんでしたし、上訴裁判所も影響されることはないと私たちは考えています。とは言え、ロブソンとセイフチャックの弁護士らはメディアの中で裁判しようという試みを続けています。
このように、ロブソンとセイフチャックは数百位万ドル訴訟の棄却に対する控訴手続きを現在行っています。同時ではありませんが、彼らの控訴は今年後半には審理される見通しです。HBOの”ドキュメンタリー”は彼らの訴訟戦略の道具にすぎません。彼らは控訴審を何としても有利に進めるための(甚だ見当違いの)努力として利用しているのです。残念ながらHBO(かつては偉大な尊敬するに足るネットワークでした)はハードコピー(注)(とジェリー・スプリンガー・ショーのミックス)の有料テレビ版へと落ちぶれてしまったようです。甚だ痛ましいことに、HBOはロブソンとセイフチャックの弁護士らによる法廷戦術の手先へとなり下がりました。
(注)アメリカのタブロイド・ニュース番組
HBOとダン・リード氏は彼らのストーリーを損なうであろう者たちへのインタビューを意図的に行わなかった
「Leaving Neverland」は、現代社会では誰であっても非難される最も凶悪な犯罪を故マイケル・ジャクソンが犯したとする主張の焼き直しです。これらの主張の深刻さを考慮するならば、HBOと制作者たちは(1)ジャクソン家、(2)問題とされる時期にジャクソンと仕事をしていた人物たち、(3)ジャクソンと過ごした少年、少女たち(本”ドキュメンタリー”で名前の言及がある人物を含む)、(4)マイケル・ジャクソンの全生涯を知る友人たち、(5)セイフチャックとロブソンを知るが信じていない大勢の人物たち、(6)トム・メゼロウと調査員のスコット・ロス(2005年の裁判でロブソンは彼らのためにマイケルとの経験を喜んで証言した。メゼロウとスコットはロブソンが信用できるとして2005年のジャクソン裁判では最初の証人としている)、(7)そしてエステート(セイフチャックとロブソンによる”ドキュメンタリー”でなされているまさにその主張について係争中)らに対してコンタクトをとっていると普通は考えるでしょう。しかしながら衝撃的なことに、HBOと制作陣はこれらの誰とも接触を試みようともしなかったのです。HBOと制作陣が、これらの人物の誰一人にも形だけでも接触すらせず、ロブソンとセイフチャックが語る誤ったストーリーの信ぴょう性を調査しなかったという事実は、ドキュメンタリー制作やジャーナリズムの規範や倫理を冒とくするものです。不名誉なことです。
実際、ダン・リード氏はサンダンス映画祭での質疑応答で認めています。すなわち彼は、子供時代にジャクソンと過ごした大勢の少年少女たち、今現在でも彼を擁護し続けている少年少女たちに接触を試みることは一度もなかったと認めているのです。さらに、少なくとも二人の少年は作中で名前を挙げられており、ジャクソンによるロブソンとセイフチャックの次の”性的虐待被害者”であると暗示されています。両名ともに、”ドキュメンタリー”制作が発表されて以降、ジャクソンから性的虐待を受けたことはないと公言しています。その内の一人(ロブソンが自分の”次”だと明示している)はこのドキュメンタリーがフィクションであると非難する”ツイート”を何度か発信しています。二人とも(ジャクソンと子供時代を過ごした多くの者たち同様)ダン・リード氏やHBOから接触を受けることはありませんでした。
言い換えれば、HBOの”ドキュメンタリー”は自ら認めた二人の偽証者の言葉のみを基にしているのです。HBOとそのパートナーであるダン・リード氏は彼ら二人が真実を話しているかどうかの調査すら試みていません。私たちが読んだ報告書によれば、この二人の男たちはよどみなくそのストーリーを語ったためにおそらく”信用できる”とされているのです。彼らはずっとそのストーリーを練習し、しゃべり方をリハーサルをしているのです(下記に触れるように、裁判中に変わっています)。二人がウソのストーリーをよどみなく語ることは驚くべきことではないのです(両者ともプロの演者でもあります)。中途半端に熟練した映像制作者は、二人が進んでそのストーリーを語るというだけで、疑いもせずに悪意あるストーリーを語る”ドキュメンタリー”を作ってしまうのです。そのうちの一人・・・ウェイド・ロブソン・・・は”嘘つきの名人”と自称しているため、これは特に問題です。彼の母親は宣誓証言で、彼が嘘つきがうまいことを考えれば”オスカーをとっていても”おかしくないと証言しています(後述)。
いろいろなインタビューでダン・リード氏はHBOを番組の信頼性を高めるために使っているが、その同じインタビューで明らかに間違ったことを話している
特に、HBOの名声が、この”ドキュメンタリー”がまじめなものだと扱われるために使用されています。プロデューサーであるダン・リード氏はメディアに対し、このドキュメンタリーが信用できる主な理由はHBOの名声であると語っています。弁護士によるチェックがなされているのかという質問に対し、彼は「私が制作するどの映像でもそうしています。私が知る限りでは、誰でもそうしていると思います。HBO向けでは特に」と答えています。映画製作者に対する日常的なチェックというのは倫理であり規範であります。例えばファクト・チェックであり(彼らのストーリーに矛盾はないでしょうか?下記参照)、動機の確認であり(彼らの語ることに金銭的理由はありませんか)、意見の異なる有識者と議論したりということです。下記の議論で明らかなように、HBOはもはや、ドキュメンタリー制作やジャーナリズムに対して倫理的・規範的な注意は払わないということです。もしHBOがそのような注意を払うのであれば、このドキュメンタリーはHBOでは放映されないでしょう。
自分の”ドキュメンタリー”が”信頼できるもの”である理由としてHBOが関わっていることをしつこく主張している同じインタビューで、リード氏はロブソンとセイフチャックに関して明らかに誤った主張をしています。彼らの信ぴょう性を高めようというのです。例えば、上記のハフィントン・ポストによるインタビューで、リード氏はインタビュアーに対し”ドキュメンタリーで最もインパクトがあるのは(ロブソンとセイフチャック)のストーリーの整合性です。彼らはそれまでお互いを知らなかったのです」と述べています。別のインタビューでは、”映画製作に関して彼らに連絡を取る以前の長い間、法律的理由のために(ロブソンとセイフチャック)は接触していませんでした”としています。彼はさらに詳しく述べ、”だから彼はストーリーをお互いにやり取りすることはできなかったのです。サンダンス映画祭は(大人になってから)初めて会ったのです」と語っています。これは完全に間違っています。2016年のロブソンの宣誓証言で彼はセイフチャックと2014年に話をしていると証言しています。セイフチャックがエステートに対する訴訟を起こした年です。何を話したのかと問われ、ロブソンは返答を拒否しています。弁護士が黙秘をするよう指示したのです。ロブソンとセイフチャックの共通の弁護士が2014年の二人の会話の際に同席していたからです。そのため私たちは彼らが何を話したのか、弁護士の指導のもとにストーリーの整合をどのように図ったのかを知ることができません。エステートに対して大金を要求していることからすると、彼らはストーリーの辻褄を合わせなければならないたくさんの理由があったのです。
いずれにしても、共通の弁護士を直近6年間で代理人としている二人の男が”同じ”ストーリーを持っているということは少しも驚くようなことではありません。これが理解できないほど貴殿が純真であるはずはありません。
最後にこれは言っておかなければなりません。すなわち、この”ドキュメンタリー”制作にゴーサインを出すにあたり伝説のシーラ・ネヴィンス氏は関わっていなかったと私たちとしては思わざるをえないのです。HBOにとって、彼女が最早この手の決定に関わっていないということは恥ずべきことです。かつては象徴的ネットワークであったHBOが、二人の嘘つきのために哀れで不誠実な手段に対し金を出し、制作し、配信しているのです。いったん棄却された訴訟を生き返らせるためになされたウソの主張に再度注目を集めるために。まったくもって嘆かわしいことです。
ロブソンとセイフチャック、エステートを訴えた訴訟でウソがばれる
ウェイド・ロブソンは、マイケル・ジャクソンは何も悪いことはしなかったと2005年の裁判で陪審員の前で証言しました。その後、彼はカリフォルニアで最も熟練した検事であるロン・ゾーネンによる厳しい反対尋問を受けました。にもかかわらず、ウェイド・ロブソンは決して動揺しませんでした。それどころか、証言後、彼は多くのビデオに出演し、インスピレーションの源としてマイケル・ジャクソンを褒めたたえ、虐待など決してなかったと話しているのです(今でもネットでは見られます)。
しかしこのことがなくても、ロブソンがエステートを訴えて棄却された訴訟でもウソがばれています。例えば、エステートに対する債権についての出訴期限を逃れるため、ロブソンは宣誓下で”(2013年)3月4日以前に、私は(マイケル・ジャクソン・)エステートが開かれているということを理解しておりませんでしたし、知りすらしませんでした”と証言しています。これはウソです。実際は、ロブソンは(エステートの遺言執行人に一人の)ジョン・ブランカと2011年に個人的に会っていたのです。(うまくはいかなかったものの)マイケル・ジャクソンをテーマとしたシルク・ドゥ・ソレイユでの仕事を得ようとしていたのです。ブランカ氏に会う前、ロブソンのエージェントは”MJの遺産を任されているジョン・ブランカ”に会わなければならないと彼に話していました。予想通りロブソンのエステートに対する訴えは棄却されました。常識的な人なら、実際にエステートの共同遺言執行人であるジョン・ブランカと会った2013年3月4日まで彼がエステートのことを知らなかったとは信じないだろうと判断されたのです。分かりやすく言えば、判事はロブソンが宣誓供述でウソをついていると判断したのです(もしジャクソンによる恐ろしい虐待の被害者だとすれば、ロブソンがマイケル・ジャクソンをテーマとしたショーの制作と監督を是非やりたいと思っていたという主張はまじめに取り上げられるものではありません)。
ロブソンとブランカ氏のミーティングは、マイケルが亡くなって金を得るチャンスだと考えた末にマイケル・ジャクソンとの関係を活用しようとした機会として初めてのものではありませんでした。マイケルの死の数日後、ロブソンは声明を発表し、マイケルを"人間のピュアな良心を私が信じる主な理由の一つ"であると賞賛しました。その後、ケニー・オルテガ("Michael Jackson’s This Is It"の監督)から仕事を得ようとしました。ロブソンは2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでジャネット・ジャクソンとの仕事を請け負いました。亡き兄へのジャネットのトリビュートです。ショーの舞台裏映像で(ネットで容易に見られます)、ロブソンがマイケル・ジャクソンに最大限の賛辞を贈っている様子が見られます。
さらに、自ら起こした訴訟において、虐待について"文書によるコミュニケーションは誰ともとっていない"と宣誓下でウソをつきましたが、結局は裁判所からそうした文書類を提出せよと命じられました。彼は(数千とは言いませんが)数百の文書を提出しました。それらは電子メールやテキスト・メッセージで、受けたとされる虐待についての家族や友人らとのやり取りです。彼はなぜ嘘をつき、そうした文書はないと言ったのか、まったく説明しませんでした。
注目すべきは、そうした文書の多くは母親とのものでした。その中で彼は明らかに、虐待を受けたとされる時期の"記憶"を再構築しようとしていました。彼の言葉で言えば、著書の草稿執筆時には知らなかった”詳細”を”付け加えた”のです。ある電子メールで、彼は母親に対し20以上の質問を列挙しています。マイケル・ジャクソンとのやり取りの特定の部分の詳細について尋ねているのです。その中には、”ネバーランドの最初の夜について覚えていることを全部教えてくれるかな?車で入っていったときは何が起きた?僕たちは何をした?ネバーランドでの最初の週末は?”というのもありました。現在ロブソンは、これらの出来事についての”自分の記憶”とされるものを実に詳細に”ドキュメンタリー”内で語っているのです。しかしリード氏もロブソンも、そのストーリーを語る前にまず母親にたくさんの質問をしなければならなかったということは絶対に説明しないのです。ドキュメンタリーではまるで自分自身の記憶であるかのようにネバーランドでの最初の夜のことを語っているにもかかわらず、宣誓証言では彼は、あの夜の記憶が"自分自身のものなのか、誰かが(ロブソンに)教えたものなのか””わからない”と認めました。
簡単に言えば、ロブソンは自ら認めた偽証者なのです。(自著の草稿で)自分のことを誇らしげに”嘘つきの名人”と呼んでいるのです。ロブソンはウソをつくのがうまいので彼の母親は宣誓証言で彼がいつウソをついているかわからないと証言しています。ウソがあまりに説得力があるので”オスカーをもらってもおかしくない”と自ら進んで証言しています。HBOの”ドキュメンタリー”でもオスカーに輝くかもしれません。
ロブソンのねつ造ストーリーは、ジャクソンによる虐待で2011年と2012年に自称ノイローゼになった、というものです。ロブソンによれば、その2度のノイローゼで数十年まえにジャクソンに虐待されていたことに気が付いたのだそうです。しかしロブソンのノイローゼにはもっと簡単な理由があります。彼の父方の家系には自殺者やうつ病罹患者がいるのです。ロブソンの父親は2002年に自殺しました。ロブソンの父方の従兄弟は2012年に自殺しました。不幸なことにうつ病というのは遺伝性が強いのです。したがって、ロブソンがノイローゼであっても驚くことではないのです。そして、彼が2011年に精神科医を受診した際に抗うつ剤を投与されたということも驚くことではありません。しかし彼はその薬の服用を拒否しました。誤解のないように申し上げますが、私たちはうつ病に罹患している人が"不適格"あるいは"不十分"だと書いているのではありません。とはいえ、私たちはロブソンの精神的な病気やその適切な医療処置を頑固に拒否している事実を提示しておかなければなりません。なぜなら、ロブソンの主張は"ノイローゼ"がジャクソンに虐待されたことの強力な証拠であるというものだからです。しかしこうしたノイローゼはうつ病患者がいるという家系の問題と、彼自身のうつ病の診断(そのための医師による薬の処方を彼は理由なく頑固に拒んでいます)によって容易に説明されるものです。
セイフチャックに関しては、自身の告白によれば、彼は2013年5月にロブソンがトゥデイ・ショーのマット・ラウアのインタビューででっち上げの虐待ストーリーを語っているのを見るまで自分が虐待を受けていたことを"自覚"しなかったと言っています。セイフチャックは虐待を受けていたことが突然分かったというのです。そしてロブソンの弁護士に連絡を取り、エステートを相手に大金を求める同じような訴訟を起こしました。ロブソンと同様、彼もまた宣誓下でジャクソンは不適切な行為は一切しなかったと証言していました。エステートを訴えた彼の2件の訴訟もまた棄却されました。
セイフチャックの根拠のない訴訟は手続きのごく初期に棄却されたため、この裁判では特に重要な発見はありませんでした。そして彼は宣誓供述書を取られず、文書の提出も避けることができました。しかし訴訟における宣誓陳述書の中にさえ、彼がウソをつき、ジャクソンとの関係に関する曖昧な記憶から虐待というウソのストーリーを組み立てようとしているという明らか証拠があります。例えば、宣誓陳述書でセイフチャックは、最初に虐待されたのはBADツアーのパリ公演の期間だったと主張しています。彼はそれが正確には1988年の6月の開催だとしています(ウィキペディアで調べればわかる簡単な調査です)。のちに彼が言うところでは、BADツアーの終了後、マイケルは彼をニューヨークへ連れていきました。”1989年の2月”のことで、マイケルはグラミー賞受賞式でパフォーマンスをしたといいます。セイフチャックは陳述書で、1989年のグラミー賞のためのニューヨーク旅行で虐待を受けたと述べています。しかしながら1989年のグラミー賞はニューヨークではありませんでした。つまりその年(と翌1990年)はグラミー賞はロサンゼルスで開催されたのです。そしてマイケルは1989年のグラミー賞ではパフォーマンスを行っていません。マイケルは1988年2月のニューヨークでのグラミー賞でパフォーマンスをしています。つまり、最初に虐待をうけたと主張する1988年6月よりも前なのです。しかしながら、どうしたことか彼は、最初に虐待を受けたと主張する以前の出来事であるグラミー賞のためのニューヨーク旅行で虐待を受けたと主張しています。明らかに、セイフチャックの”失敗”はでっち上げの虐待ストーリーを作り上げるための努力の表れなのです。言い換えれば、セイフチャックは行き当たりばったりなのです。
”ドキュメンタリー”で、そして訴訟のための供述書で、2005年にセイフチャックは、ジャクソンや弁護団からの脅しに屈せず、ジャクソンのために証言することを拒んだという話を作り出しています。このような繊細な問題について、ジャクソンと彼の有能な弁護団が、非協力的で不安定な証人に証言するよう説得を試みるということの不条理さはさておき、セイフチャックのストーリーは明確に虚偽です。特に、セイフチャックは、マイケルと弁護団が”裁判の終わりころ”に証言するように彼に圧力をかけたと断言していまが、これは真実ではあり得ません。この裁判の開始早々、検察側のセイフチャックその他の性的虐待に関する証拠採用を判事が禁じました。その虐待の”証拠”が信用できないというのが理由でした。判事は、マイケルがウェイド・ロブソン、マコーレー・カルキン、ブレット・バーンズを虐待したと聞いたという、不満を抱いていた何人かの従業員の証言は例外としました。この3人が特別に証言したのはこれが理由であり、そして彼ら全員が性的虐待を否定しました(もちろん、ロブソンも含まれています)。そして検察による反対尋問を受けましたが揺らぐことはありませんでした。セイフチャックがドキュメンタリーと宣誓証言で主張する、”裁判の終わりころ”にジャクソンと弁護団が非協力的で不安定な彼に証言するよう圧力をかけることはなかったというのはこのためなのです。
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これらのこと、つまり誰でも労せず手に入れられる事実を考慮した上で、なぜHBOが彼ら二人の嘘つきとダン・リード監督の言葉のみに基づいたドキュメンタリーを制作するのでしょうか?なぜHBOは、ロブソンとセイフチャックによる間違った主張に対して数年を費やして訴訟で勝利したエステートに何らコメントを求めずにこのドキュメンタリーを制作したのでしょうか?HBOにとって同じような扱いのアーティストが他にいるのでしょうか?HBOは、他のアーティストに対し、このような深刻な告発を行うにあたって意見を聞かないのでしょうか?
マイケル・ジャクソンは、狂信的で悪徳で徹底的に信用のないサンタバーバラ郡の検事、トム・スネドンによる10年規模の捜査に耐えたのです。スネドンはジャクソンの”被害者”とされる人物をどこでもいつでも探し求めていました。しかし彼は、そのような”被害者”を見つけることはできませんでした。2005年の裁判は完全な茶番劇でした。マイケル・ジャクソンは完全無罪だったのです。あの裁判を調べた人なら誰でも知っている通り、陪審団は検察の主張を完ぺきに否定しました。冒頭陳述と最終弁論の両方で、ジャクソンの弁護士トム・メゼロウは、彼の法律チームはジャクソンの無実を証明したのだから、無罪とするべきだと陪審団に語るという異例の行動をとりました。言い換えれば、彼は”合理的な疑い”裁判を目指したのではないのです。メゼロウはジャクソンの無実を証明することを目的に裁判に臨んだのです。そして彼はまさしくその通りにしたのです。つい最近の2017年、一部の陪審員が、ロブソンの豹変という観点でインタビューを受けました。そして彼らは全員が、今でもジャクソンが無罪であるということに同意しました。陪審員たちは何度もインタビューを受けています。彼らは理路整然とした頭脳明晰な方々です。ダン・リード氏が”ドキュメンタリー”で描こうとした騙されやすい馬鹿ではありません。HBOは、アメリカの正義のシステムの重みよりも二人の偽証者による裏付けのないストーリーに頼っています。
もちろん、タブロイド・メディアのマイケル・ジャクソンへの執着と彼に関する馬鹿げたストーリーを語る姿勢というのは今もそのままです。偉大なるアメリカの知性、ジェイムズ・ボールドウィンは、”マイケル・ジャクソンの周りの雑音”について、遡ること1985年、メディアが彼を”口を開けた肉食的成功の大顎”に導き始めたころに書いています。ボールドウィンの見方の通り、マイケルは”たくさんのテーブルをひっくり返したこと、空前の成功を収めたことで容易には許されないだろう。そしてモンテ・カルロの銀行破りはマイケルの弱みを握っていない”のです。1985年にボールドウィンがこうした言葉をつづった時、マイケル・ジャクソンはインディアナ州ゲーリー出身の27歳のアフリカ系アメリカ人で、音楽ビジネス界の権力構造全体の”たくさんのテーブル”をひっくり返しました。空前の成功をテコに、マイケルはMTVとメジャーラジオ局に彼の音楽や他のアフリカ系アメリカ人の音楽をオンエアするよう主張しました。また所属レコード会社に対し、マスター音源の所有権を与えるように主張しました。言い換えれば、若きアーティスト、マイケル・ジャクソンは彼自身のアートのコントロールを自分自身で行い、ビッグ・ビジネスの気まぐれには任せておけないと主張したのです。そしてさらに・・・27歳のマイケル・ジャクソンは自分自身の音楽出版社を所有していませんでしたが、音楽出版の最大手の一つ、ATVカタログ(ビートルズ・カタログを所有していることで有名)に対し、音楽業界でより地位の高いプレーヤーたちよりも高い値段をつけました。
彼の言葉が30年後の今日でも真実味を持っているということをジェームズ・ボールドウィン本人ですら当時イメージできていたかは疑問です。マイケル・ジャクソンはいまだ”たくさんのテーブルをひっくり返したことを許されていない”のです。彼がこの世を去って10年経ってもなお。かつて偉大だったHBO(かつてマイケルと組んで大成功を収めた)でさえ、故人であるマイケル・ジャクソンを”口を開けた肉食的(死後の)成功の大顎”に導いているのです。4時間の枠を二人の偽証者の言葉に充てて。彼らの狙いはただ一つ、ジャクソンの正当な相続人と彼が選んだ受益者から金を得ることなのです。
HBOが死後10年にして、タブロイドの”マイケル・ジャクソンの周囲の雑音”に合流したということは本当に悲しいことです。HBOが、NetflixやAmazonその他の最近のコンテンツ・プロバイダーとの深刻な競争圧力にさらされていることは私たちもわかっています。しかし視聴者を取り戻すためにこのようなレベルにまで身を落とすとは恥ずべきことです。HBOとこのドキュメンタリーの共同制作者たちは成功を収めないでしょう。HBOの歴史上もっとも恥ずべき出来事として歴史に残るでしょう。献身的なマイケルのファンたち、世界中の良心的人々は、HBOの振る舞いを永遠に許さないでしょう。
ミスター・プレプラー、ご自身が2017年末に仰ったように、「真実がブーツを履いている間にウソは世界を半周する」のです。この恥ずべきドキュメンタリーに関するメディアの報道だけでも、あなたの言葉が正しいことを証明しています。
私たちは、問題解決の話し合いのためにHBOとお会いしたいと考えています。彼ら二人が何者であるのかを暴露するさらなる情報や承認を山のように用意しています。もしHBOが、ニュースや事実の有効な情報源としての業界での地位を保ちたいとお考えであれば、故マイケル・ジャクソンと、HBOが彼の生前に仕事をしてきた人々は言うに及ばず、一般の大衆に対して義務を負っています。こうした問題を実際に調査するという義務です。
これがなければ、この”ドキュメンタリー”は、マイケル・ジャクソンというよりもHBO自体を物語るものになるでしょう。
ハワード・ワイツマン
Source: MJOnline,The Official Online Team of The Michael Jackson Estate™/ hollywoodreporter.com /MJJFANCLUB.JP