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アニメーション監督・小川優樹 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人” 第41回) (2020/5/4 10:00:00)
アニメ・ゲーム業界は多士済済(たしせいせい)、才能の宝庫だ。連載第41回は、若き期待のアニメーション監督・小川優樹さん。小川監督作品の中で今最も注目されているのは、異種族が共存する世界の夜の街をエロティックかつ人間味豊かに描いた、「異種族レビュアーズ」であろう。若手ながらもその演出力、特に女性描写には以前から定評があり、初監督の「大家さんは思春期!」では中学生の女の子のかわいらしさを、「みるタイツ」では女性の脚とタイツの美麗さを見事に表現している。だが美少女ものに特化した監督、というわけではない。絵コンテでは「ナンバカ」、「時間の支配者」、「フルーツバスケット」といった作品にも参加しており、アクションからヒューマンドラマまでさまざまなジャンルを手がける、正統派のアニメ演出家なのだ。当記事ではそんな小川さんのキャリアを紹介しつつ、画作りのこだわり、スタッフ・キャストの選び方、業界の課題、今後の挑戦などについてもじっくりと語っていただいた。「異種族レビュアーズ」制作秘話もあるので、興味のある方はぜひ最後までお読みいただきたい。
どんなジャンルの作品も、「本名」で参加する監督
─本日はどうぞよろしくお願いいたします。最初に、小川さんが考えるアニメーション監督の魅力とは何でしょうか?
小川優樹(以下、小川)
自分はアニメーターとして作画から始めて、演出、絵コンテ、監督とやってきているんですけど、監督はすべての工程に立ち会える、どんどん完成していくところを間近で見られる、というのが楽しいですね。原作のある作品をやった時に、原作ファンの人から「よかった!」と言ってもらえるのも、すごくうれしいです。
─監督作品は「大家さんは思春期!」(2016)、「フリクリ
プログレ」(2018)第3話「ミズキリ」、「みるタイツ」(2019)、「異種族レビュアーズ」(2020)となりますが、話数単位で参加された作品を見ても、いわゆる美少女ものが多いようです。美少女ものがお得意なのでしょうか?
小川
得意というか、今オファーが来ているのは、深夜向けの女の子のかわいらしさを見せるものが多いです。さらに言えば、フェチが濃いというか、ディープな一部の層に人気があるものをやると、評価してもらえるというか、反応がいい感じはしますね。
─性的描写にもご抵抗ないのですね。性的描写のある作品は匿名を使って参加する方もいらっしゃいますが、「魔装学園HxH」(2015)も「異種族レビュアーズ」も、ご本名で参加されています。
小川
自分はそこに抵抗はなくて、むしろ調べて研究しているくらいです(笑)。18禁アニメの原画もヘルプで手伝った時があって、「オトメドリ」(2012)も本名で載っています。
─創作活動にあたり、一番影響受けた作品は?
小川
最初に好きになったアニメは、子供の頃に観た「ポケットモンスター」(1997〜)です。自分はアニメが好きでこの業界に入ったんですけど、「ポケモン」に参加したくて業界に入った、というのもあります。
─フィルモグラフィーだけを見ると深夜アニメがお好きなのかなと思ってしまいますが、小川さんの根っこにあるのは子供向けアニメなのですね。実際、小川さんは「ポケットモンスター
ベストウイッシュ」(2010〜13)第52話の原画や、「ポケットモンスター XY」(2013〜16)第13話の演出助手もされています。
小川 業界に入って半年ぐらいで大好きな「ポケモン」に関われたので、本当にうれしかったです!
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