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アニメーション監督・橋本裕之 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人” 第39回) (2020/1/12 12:00:00)
連載第39回は、アニメーション監督の橋本裕之さん。初監督作品の「ご注文はうさぎですか?」はブロックバスター(編注:興行的な成功を収めた作品のこと)で知られ、今や日常系アニメの代名詞でもある。その後も「魔法少女育成計画」、「ようこそ実力至上主義の教室へ」、「スロウスタート」、「LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-」とバラエティに富んだ意欲作を発表し、アニメファンを沸かせ続けている。当記事ではあふれる作品愛と鋭い演出眼を披露。キャスティングやスタッフィングはもちろん、監督までの道程や名作誕生の舞台裏などもたっぷりとお話いただいた。みずからを「プロデューサーに近い監督」と述べる橋本さんは、ファンを想う気持ちが人一倍強く、メディアミックス時代にもふさわしい作品哲学をお持ちのようだ。今回もライターcrepuscularが独自の切り口をもって、一流クリエイターの人物像を浮き彫りにする。
作品に愛着を持つのが好き
─お忙しい中、インタビューに応じてくださりありがとうございます。最初に、橋本さんはアニメーション演出のお仕事を始められて、どのくらいになるのでしょうか?
橋本裕之(以下、橋本) 「バスカッシュ!」(2009)からになりますので、10年くらいだと思います。
─お仕事の魅力は何だと思いますか?
橋本
監督は作品の中で基本的にはひとりしかおらず、全体を見通すことができます。作品に関わっていて全体を見通せるというのは、やりがいがあるなと思いますね。
自分はもともと作画をやっていたんですけど、作画はあまりうまくなかったので、作画監督をしたことがないんです。1本まるまる自分で話数を見ることがなかったので、演出になった時に1話数まるまる自分で目を通すことができて、すごくうれしかったですね。それは監督になってからも同じで、ひとつの作品を全部見られるのは、おもしろいんですよね。たぶん、作品に愛着を持つのが好きなんです。全部のカットのいろんなことが見えて、自分の思うようにもできるし、なぜこうなったのか理由もはっきりわかるし。作品に正直に向き合えるんですよ。
─橋本さんのツイッターや過去のインタビューからも、そうした作品愛はひしひしと伝わってきます。
橋本
好きなんですよね、関わった作品全部が。だからこの先続けていくと、大変なことになるなと思います。全ての作品を愛するということは、子供がどんどん生まれていくことになるわけじゃないですか。3人ぐらいまでは面倒見られるけど、15人ぐらいいると「大丈夫かな?」、「うちは生活できるのかな?」みたいな感じになっちゃうなと(笑)。それはそれでうれしいけれども、大変な悩みになる感じはありますね。
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