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アニメーター・横田拓己 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人” 第38回) (2019/12/22 10:00:00)
ライターcrepuscularの単独インタビューシリーズ第38回は、アニメーターの横田拓己さん。アニメ制作会社AICの若きホープとして「喰霊-零-」、「ストライクウィッチーズ2」、「そらのおとしものフォルテ」、「R-15」、「えびてん 公立海老栖川高校天悶部」などに参加し、美少女もの作品で頭角を現した横田さんは、「プピポー!」でキャラクターデザインを初担当。フリーになってからも原画や作画監督で大車輪の活躍を見せ、ファンの間では「幸腹グラフィティ」の総作画監督や「三ツ星カラーズ」のキャラクターデザイナーとしてもその名を知られている。新作「波よ聞いてくれ」のキャラクターデザインではこれまでにないチャレンジもあったようで、2020年4月の放送開始が待ち遠しい。記事ではキャリアや創作論を掘り下げつつ、業界の抱える課題や今後の抱負についても語っていただいた。
アニメーターは「絵描きとして勉強しやすい職業」
─本日はどうぞよろしくお願いいたします。最初に、横田さんはアニメ業界に入られてどのくらいになるのでしょうか?
横田拓己(以下、横田)
大卒でufotable(ユーフォーテーブル)という制作会社入って、作画に転向したのが1年後くらいなので、なんだかんだで13〜14年経ってしまいましたね。
─アニメ作画の魅力は何だと思いますか?
横田
絵の勉強になりますね。アニメーターの人ってびっくりするくらいうまい人がたくさんいるんですよ。どこかにまだファンの心が残っているのかもしれないですね。「あの人みたいに描きたい!」みたいな。あとアニメは描くこと自体、不思議と飽きないんですよね。自分は基本飽き性なんですけど、やっていていまだに「仕事嫌だな」と思ったことがないんです。徹夜が続いている時以外は、ですけど。
─アニメ制作はアニメーター以外にも各部門の専門家がいて、その点を窮屈に感じる作家さんもおられるようですが……。
横田
僕は大人数で作れるところが好きですね。自分の思想だったり、表現を100%%出すのに一番適しているのは、多分、マンガや小説だと思います。自分も大学の時はマンガ家をやろうと思って、結構投稿だったりしていましたけど、それで一番つらかったのは、ずっとひとりで黙々とやらなきゃいけないことなんですよ。1本作り終わった時はすごい気持ちよかったですけど、大学から家に帰って寝るまでチマチマ描くのが非常に苦痛で。
─創作活動にあたり、影響を受けた作品は?
横田
アニメだと、幼少期の記憶で残っているのが宮崎駿監督作品、あとは初期のガイナックス作品ですね。7歳くらいだったと思うんですけど、偶然床屋で「ふしぎの海のナディア」(1990〜91)を観て、めっちゃ怖かったのを覚えています。「ナディア」って子どもの頃観たら、結構怖いシーンが多くて、画面とか鮮明にトラウマのように残っているんです。「新世紀エヴァンゲリオン」(1995〜96)も怖かった。オンエアしていた頃がちょうどシンジ君と同じ年齢だったんですよ。
アニメーターというか原画というものを意識したのは、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版
Air/まごころを、君に」(1997)、いわゆる「夏エヴァ」です。2号機と量産機が戦っているところを磯光雄さんが描かれているんですが、本当にデカく見えたんですよ。重いものが重く見える、というか。
─ツイッターには「シスター・プリンセス〜リピュア〜」(2002)の写真をアップされています。
横田
「シスプリ」はアニメーターになって、ちょうど作画オタクになっていた頃に買ったDVDですね。突出した画柄の回があると聞いて、それが柴田由香さんがコンテ・演出・作督をやられた6話Bパートです。信じられないくらいかわいかったんですよね。そのとき「これが最先端だ!」と思って、延々とリピートして観ていました。
─ゲームはいかがでしょうか?
横田
自分が小学生5〜6年の頃に「ファイナルファンタジーVI」があって、「FFVI」をきっかけに絵を描き始めたんですよ。パッケージが天野喜孝さんの絵で本当にカッコよくて、あれの模写をしていたんです。それをクラスの人に見せたら褒められて、それからずっと絵を描いています。
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