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ガンダム美術展「来るべき未来のために」を見て 高ヒット[編集・削除]
2013/2/24 17:02 投稿者: yasuaki [ 2164hit ]

これは、2005年に上野の森美術館でやっていたガンダム美術展の訪問記を転載するものです。

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先日、ガンダム美術展「GUNDAM -来たるべき未来のために」に行ってきました。
もともとは大阪でやっていて、現在は上野の森美術館でやっているものです。

見ていて、正直複雑な気持ちになりました。
美術展の趣旨はわからなくはないのですが、どうもガンダムとのリンクが中途半端というか、踏み込みが甘いというか・・

いろいろ考えさせられる展示会ではありました。

テーマ設定について
現代美術でどうガンダムを表現するかというのがテーマなわけで、
・戦争
・進化
・生命
という3つの角度からガンダムを表現しています。
そして、戦争ということについては、「戦争の悲惨さ」という角度からガンダムを捉えた作品が目立ちました。
骸骨、戦場に人を送り込む鳥肌立てたセーラの巨像など・・

ガンダムというアニメ作品では描かれなかった戦争の実像、というコンセプトなのでしょうが、そうであれば他にももっと鋭い突っ込み方があったのではないでしょうか?

例えば、実際の戦争では、死ぬのも苦しむのも、兵士ではなく、一般市民の方がはるかに多いわけです。

そう考えれば、むしろそのことをテーマにした富野監督の「ザンボット3」という作品があるわけですから、それとリンクさせた角度もあったと思います。

少なくとも、富野監督が「ザンボット3」で描いていた戦争ほどには、鋭さがかんじられませんでした。

作品の製作者達は、私とかなり近い世代なので、まあ、所詮は戦争を知らない人たちが、戦争アニメをきっかけに戦争を想像してみましたというところでしょうか・・

戦争の描写というのは、戦場に行った漫画家がかくよりも、一般人として戦争を経験した人の方が怖いものです(手塚治虫の空襲ものなど)。

その少し後の世代(宮崎駿監督、富野監督)などは、やはり戦争による一般人の被害という視点が(作品にもよりますが)時に強烈にあります。

しかし、ガンダムで戦争を想像してみた世代の作品となると、せいぜいが兵士の気持ちなのでしょう。
→冷たい言い方ですが、私とほぼ同世代だけに、自戒も込めて言っています。

ニュータイプについて
面白い試みとして、ニュータイプのテストというのをやっていました。
一次試験 5枚の中から1枚のESPカードをあてる。
二次試験 2人一組になり、一人が思念を送り、もう一人(バイザーをつけて目が見えない)がそれに導かれて、障害物をさけて歩く。

残念ながら、私が行った時はこれらのテストはやっていませんでした。
その気になれば、自宅でもできるので、相手をつとめてくれる人がいる方は、ご自宅でやってみてもよいのではないでしょうか?

ただ、これも、いわゆる25年前のニュータイプ論から一歩も進んでいないというか・・

富野作品が(というかガンダムシリーズが)ニュータイプ論でぼろぼろになりながら苦闘していた歴史は全く無視され、昔の超能力ブーム(これは私より上の世代かな?)みたいな角度の切り込みでした。

なお、昔ファミコンゲームでエスパー清田少年(だっけ?最近の若い人は知らないでしょうが)が製作した超能力養成ソフトがありました。

私は、大人になってからラスベガスに行く前に、このソフトを特訓して全クリアしました。
内容は、「次に出てくるのは何色の車か?」「カードの中の一枚だけ絵が違うけどどれか?」みたいな感じで続くものです。

まさに、今回のニュータイプテストみたいなものですね。

もちろん、ラスベガスでは、(一時的なビギナーズラックはあったものの)全てを失いました・・

現代美術について
今回、最も考えさせられたのはこの点でした。

たしかに、どれもいわゆる『現代美術』的作品でした。

しかし、現代美術とガンダムが結びつくことで、何が見えたでしょうか?

主催者は、「難解な現代美術を、ガンダムと結びつかせることで、普段美術などに関心がない若者にもとっつきやすくしてやろう」という

教育的配慮を考えていたようです。

しかし、私が今回はっきりと悟ったのは、「現代美術が何故駄目なのか」でした。

もともと美術というのは、一部の愛好家のものではなく、一般的な人々(民衆)や金持ち(貴族)、寺院や教会などが、自分達で何かの具体的なイメージを理解するために長らく存在しました。

ですから、芸術家の楽しみではなく、何よりもまず人々に支持を得られるかどうかが勝負だったはずです。

しかし、近代のヨーロッパ以降、やがて芸術の役割は独立し、20世紀になっていわゆる「現代美術」が生まれるのですが・・

正直言って、今回の展覧会に限らず、頭でコンセプトを考えた作品が多すぎると思います。

だから、理屈の面白みはわかるんだけど、感動はない作品が多いというか・・

結果として「芸術」は一部の人の世界のものになってしまったのだと思います。

そのことを、何よりも考えさせられたのが、外に飾ってあった富野監督自らの作品でした。(真ん中の赤いところにいる小さいのがガンダムで、巨大な敵(ザク)とたたかっています。)

深読みかもしれませんが、富野監督自身、この展覧会が嫌だったのではないでしょうか?「好感を持った」発言も確かにありますが、それは、ガンダムを肯定的に再評価してくれる企画ならOKしようというレベルではないでしょうか。

なぜなら、美術展ではありませんが、映画祭についてこう言っているからです。

『映画好きのとってもいい空気で、なんか同好の士ばかりで、僕もその中に完全に溶け込めてね、うふふふ。お前らにはこういうのわかんないだろうねぇ。お前達はほんとアニメしか知らないバカだから』って言って、おしまいですよ、きっと」

「これだったら、バカなアニメの上映会?そのへんで2、30人ぽつぽつとコスプレやっているバカが混じっている、そういう上映会の方がずっといいなと思いました。」

「(ロボットアニメについても)『ミーハーごときがやっているものだから、こりゃクズだろ!』と言い切る姿勢でいいんじゃないでしょうか。」

だからこそ、自分の作品を美術館には入れず、あえて外に出し、かつ、写真もOKにした可能性はないでしょうか?本当はもっと巨大にして皆が手を触れられるようにしたかったのでは?ジブリミュージアムのように・・

(と、写真を撮ろうとした子供がラインに気づかず踏み越えたために親子ともども怒られた私は考えてしまいました)

富野監督が、古典的な手法の造形で表現しているのは、まさに

「まだ怒りにー燃ーえるー。闘志がーあるーならー。巨大なー敵をー撃てよー撃てよー撃てよー」

という言葉をそのまま表現した、巨大なザク達と戦うガンダムの姿でした。

これこそが、まさにガンダムの真髄であり、あれだけの支持を得られた核心でしょう。

ガンダムとは、何よりもまず、見ていてわくわくする楽しい作品だったのです。

それを、頭でっかちになった「現代美術」が、さらに頭でっかちに戦争・ニュータイプなどのテーマを真面目に表現しようとしたとき、そこには、ガンダムが持っていたエンターテイメント性はすっぽり失われていました。

もし、戦争について真面目に考えたいのなら、他の方法はいくらでもあるでしょうし、上にも書いたように、少なくとも初代のガンダム以外の富野作品の方が適切だったでしょう。(これは今回のテーマ1の「戦争」について)

ニュータイプや進化について多少なりとも真面目に考えようとするなら、なぜ、Zガンダム以降ニュータイプが袋小路に入り、Vガンダムでは進化よりも人類の退化が焦点となり、エスパーが登場するようになったのか、考えてみてもよかったでしょう。(これは今回のテーマ2の「進化」について)

生命について考えたいのであれば、「機動戦士ガンダム」の直後に作られ、人類の生命の死滅と再生を描いた「伝説巨神イデオン」に一言触れてもよかったでしょう。(これは今回のテーマ3の「生命」について)

美術という観点でいえば、たとえば、ロボットや兵器が持つ機能美や、巨大な造形物が持つパワーそのものについては、今回の美術展の関係者は誰も何も感じなかったのでしょうか?それこそ、現代美術ならではの視点で何か語ってもよかったのでは?(そういえば1/1コアファイターがありましたね。あれはちょっと面白かったです。でもガンダムミュージアムのザクの頭の方がいいけど)

現代美術作品の多くは、どれも製作の理屈は面白いのですが(私は解説スピーカーを聞き、説明パネルも熟読しながら館内をまわりました)、素直にわくわくさせられる感動はありませんでした。(ガンダムミュージアムの方がわくわくしたなぁ・・)

おそらく、このような直接的な感動こそが、現代美術が失ってしまったものではないでしょうか?

その意味で、今回の美術展が、「無知な若者への現代美術の入門の場」ではなく、「大事なものを見失ってしまった現代美術が、若者向けエンターテイメントであるガンダムと向き合うことでハートを取り戻す場」になってくれる面があれば、開催した価値もとてもあったといえるでしょう。

そうでなければ、現代美術とガンダムの25年目の一瞬の邂逅は実ることなく終わってしまうでしょう。

ララァ「なぜこういう風にしか会えないのかしら・・あなたは私にとって遅すぎて・・」

アムロ「ぼくにとってあなたは突然すぎたんだ・・」

ガンダムについて
もっとも、上であげたような現代美術への批判は、富野監督のガンダムシリーズそのものへも向けられるべきかもしれません。
最初のガンダムが持っていた「わかりやすさ」「わくわくさせる面白さ」みたいなものを、後のシリーズは明らかに失っていたので・・

しばらく前にスカパーでガンダムの再放送をやっているのをたまたま目にしたら、とにかくモビルスーツが大きくて迫力あるのに驚いてしまいました。似たような構図なのに、Zガンダム以降と比べると随分迫力が違うのです。

しかし、今回の富野監督の作品を見て、ガンダムが面白かったゆえんであるエンターテイメント性の真髄を失っていない!と思いました。

まだまだ面白い作品を作ってくれると期待しています。

最後に
入館料は1000円くらいだったのですが、目録が2800円。ガンダムの特製クリアモデルが1500円。その他少々買った(実は、上の文章では批判しまくっているが、心の中ではいいなーと思った作品がいくつかあった(個人的には天命屋氏の作品などきれいだと思ったし、他にも気に入ったがのがあり、いろいろ買ったのでした)ので、全体では結構いい出費になりました。

(参考)下の天命屋氏の作品(和風のやつ):館内撮影禁止のため、お土産品で売ってたものを撮影

お客も入っていたので、売上は相当なものでしょう。商売のために、テーマ的なリンクは無視し、あえて知名度の高い「機動戦士ガンダム」にしか目を向けず、その他の富野作品には触れなかったというのなら、それはそれで成功だったかもしれません。

素直に楽しめるというよりは、いろいろ考えさせられる場ではあったというのが、正直なところです。

和風なガンダム
和風なガンダム
真ん中の赤い所に小さなガンダムがいて、文字通り巨大な敵と戦っています。
真ん中の赤い所に小さなガンダムがいて、文字通り巨大な敵と戦っています。
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