エヴァンゲリオン・ストーリーの変遷

エヴァンゲリオンは、その圧倒的な人気と謎のためか、様々な資料が出ております。これらから、エヴァンゲリオンの基本ストーリーの変遷を追ってみます。

 

企画段階

人類補完計画を目指すゼーレとネルフの基本設定は同じ。キール(この段階ではコンラート・ローレンツ・・学者)とゲンドウの考えに根本的違いはないが、仲は悪くなりつつある。月からやってくる最強の第12使徒が現れ、エヴァンゲリオンでも歯がたたない。ゼーレは補完計画を断念するが、ゲンドウは固執。ゼーレはネルフを襲い、強制的に補完計画を中止させる。つまり、人間は生命の木に到達できない。ちなみに、使徒は世界各地の古代遺跡及び惑星からやってくる設定であった。

 

脚本段階

ゼーレとネルフの人類補完計画に違いが出てくる。シンジに神と等しいパワーを与えようとするネルフ側と、それを阻止しようとするゼーレという流れである。使徒は古代遺跡から現れるわけではないが、ジオフロントを作った第一始祖民族について語られる。

 

テレビ段階

脚本に比較し、神関係のセリフ及び先住民族が削られ、謎が非常に深くなる。古代遺跡関連については、ネルフ本部がピラミッド型なことと、ジオフロントの存在、オープニングの最後の文字あたりに片鱗を留める。惑星関連については、宇宙からやってくる使徒がいることと、エンディングテーマが「Fly me to the moon」であることにのみ、片鱗を留める。25,26話は種々の理由によりシンジの内面世界となった。

 

春の映画

総集編であるDEATH編も、テレビとは微妙に異なっていた。ビデオ版ではそれらのシーンがいくつか入るということである。REBIRTH編については大まかにはできていたのではないかと思われる。夏に延びた「アイデアが膨らんだ」部分とは、実写部分がメインではないか。

 

夏の映画

25話、26話として新に制作。25話は、もともとの脚本通りという。春の映画広告で出ていた内容とほぼ同じ。すばらしいと思う。アスカのシーンでは泣いている人もいた。26話では、とうとう生命の木に到達できた!その他にも多くの謎が解けたのだが、ある種の知識がかなりないと謎のままだろう(本文参照)。また、1回しか見ないとよくわからないシーンが多く、謎がわからなくともひきつけられたテレビ版のようには楽しめない。観客の実写が出るシーンは、制作側の傲慢な説教ではなく、現実に目を向けたシンジに観客をシンクロさせようという事のわかりやすい表現を意図したのだとは思うが。みんな、映画をみたあと黙っており、満足感を得た人はあまりいなそうであった。なお、ストーリー的には20話の、生命のスープから人間への復帰の、全人類版であり、テーマ的にはTV版26話と同じく、シンジの内面から現実へということだと思うのだが、「母にさようなら」「子供達におめでとう」はそれぞれ発展していたのに対し(おめでとうと言うほど暖かくはなかったが)、「父にありがとう」が抜けていたのが残念であった。しかし、1週間たって本文に書いたようなことを考えてからもう一度見に行ったら感動したので、1度見て脱力感に襲われた人は是非もう一度見て欲しい。

 


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