「同期合わせ」


  TVシリーズ後半、アスカは弐号機とシンクロできなくなります。原因については作中以下の憶測が語られるのみです。
   ・パイロットとしてシンジに負けたから
   ・使徒の精神攻撃を受けたから
 一見これらが原因のように見えてしまいますが、私は違うと思っています。
 原因らしきもの、そしてその些細な傍証はさまざま存在するでしょうが、この物語の本質を考えた場合、真の原因は私にとって明らかです。

  原因は「アスカが初潮をむかえたから」だと思います。
 「子供しか乗れないエヴァ」良い事でも悪い事でもなく来るべき時が来たのです。
 
  アスカが「偽りの再生」を果たす直前、死への恐怖にかられ彼女の精神は幼児にまで後退します。
 その後、幼児として母と再会し再シンクロを果たします。このほんの数十秒の場面をカントクはチャプターとして切り出しタイトルをつけています。「退行への緊急避難」
 幼児に退行することにより再度シンクロが可能となる。
 やはり原因は「初潮(子供でいることが許されない時期)を迎えたから」だと思います。


  もうひとり「来るべき時」をむかえたパイロットがいます。「Air」冒頭アスカの病室で行為におよんだシンジです。
 アスカの「初潮」とシンジの「行為」は物語の中でまったく同質の事柄です。
 シンジは勝手に自己嫌悪していますが、物語は彼を責めていません。ただ良い事でも悪い事でもなく来るべき時が来たのです。
  私はシンジももうすぐ初号機とシンクロできなくなったはずと考えています。
  作中、「初潮だったか」「初めての行為だったか」は表現されませんが、私は勝手に初めてだったと見ています。カントクは自己の分身たるシンジとアスカに「これ以後、子供でいることは許さない」と宣言したように思われます。

  「Air」冒頭でのシンジの行為をもって、シンジとアスカの同期合わせが完了し、これ以後
 実質的に劇場版の幕は上がっていきます。


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 劇場版前半けっして子供でいることをやめようとしなかったアスカには残酷な刑罰が与えられます。
 シンジが子供だったのか、大人だったのか、罰を受けたのか、祝福を受けたのかは実はまだ判断できていません。




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