次のエッセイは、エヴァンゲリオンのメインテーマである補完計画について考えたものです。
Yasuakiさんの論文は大変な力作であり、これを超えるのは難しいと思いますが敢えて挑んでみました。
大きな違いは宗教的意味合いを考慮にいれないで分析をすすめていることです。
エヴァンゲリオンが非常に難解に見えた理由の一つは、もともとの(ゼーレの)補完計画がどういったものであったのか、そしてそれがゲンドウによってどう変更されたのかが分からないからだと考えます。
それを推測すればゲンドウ、ゼーレの思惑がどう絡み合い、テレビ、映画のようなかたちになっていったのかがわかると思います。
この物語はもちろんフィクションですが、フィクションにもそれなりの世界設定、約束事があるわけで、補完計画を考えるときにも、その周辺の約束事、事象の動きを取り入れて分析を進めてみました。ですから、あっちへ飛んだり、寄り道をしたりするのもある意味では仕方がないので(つまり演繹的に推論を進めることができないわけです)、辛抱してつきあってほしいと思います。
取り上げた台詞が、作者の怠惰が主な理由ですが、どこで現われたものかは記していませんが、はまった人には分かると思います。ちなみに分析はDVDの7巻(アフレコ台本)、映画版2枚組みをもとにおこなっています。
まず補完計画をとりまく状況からみてみます。
年々生まれる子供の数が減っています。
昨年度出生率またも低下。世界的問題に。
人間には時間がないのだ。
種としてすでに行き詰まった人類を人工進化させる補完計画。
これらのことから少なくとも2015年には人類の未来について根本的な問題が顕在化していることが分かります。それはおそらく一言で言えば、人類は種としての未来がないことを指しています。つまり百万年前に他の類猿人から分かれた人類という種が終わろうとしているいうことです。
それを予想した碇ゲンドウが国連直轄人工進化研究所の所長となって研究を始めたのが人類補完計画でであるわけです。ゲンドウは補完計画をすぐに提唱しなかったのですが、
冬月、人類のあらたな歴史をつくってみないか。
まさかあれを。
そうだれもがなしえなかった神へのみち。
から、構想はその前からあったものと思われます。
さて、この補完計画はどのようなものであるのでしょうか。補完計画委員会なるものがUNに作られます。使徒があらわれ、エヴァが動きだしたときにかれらはどう考えていたかというと
それに君の仕事は、これだけではあるまい。
人類補完計画これこそが君の急務だぞ
左様。その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ。我々のね。
肝心の人類補完計画が遅れている。
お金に関してせこいところね。
人類の命運をかけているんでしょう。ここ。
我々がどの程度の時と金を失ったか、見当もつかん
これも碇の首に鈴をつけておかないからだ。
というように、まるで使徒を倒すことが最重要ではないようなことを言っています。
委員会の了解のもとにアダムのサンプルを運んだ加持は
人類補完計画の要ですね。
といっていますので、アダムを使った計画(アダム計画)であることは間違いないのでしょうが、エヴァによる使徒のせんめつとは必ずしもリンクしたものと認識されていません。 しかしながら、
(セントラルドグマへ使徒の侵入に対して)
いかんな。これは。早すぎる。
もし、接触が起これば、全ての計画が水泡と化したところだ。
使徒は知恵を身につけ始めています。我々に残された時間は、
あとわずかということか。
の言葉から分かるとおり、委員会においても、使徒の存在が重要な意味を持っていることは明らかですが、必ずしもすべて倒さなくては人類に未来はないという意味でないことも確かなようです。委員会はゼーレの計画のすべてを知っていたとは思えませんが、これは、ゲンドウの
全ての計画はリンクしている問題はない。
使徒を倒さぬかぎり我々に未来はない。
と大きな対比をしめしています。
ここでロンギヌスの槍をめぐるやり取りを考えて見ます。
南極からロンギヌスの槍を引き上げに碇たちが出かけるのですが、ここでUNの艦艇を使っています。このことからこの計画は補完委員会の意向をうけたものであることは間違いないと考えられます。この槍は最初に
ではロンギヌスの槍は。
予定通りだ。作業はレイが行っている。
との言葉より、碇のシナリオにとっても必要であったと言えます。
しかし、
碇、まだ早いのではないか。
委員会はエヴァシリーズの量産に着手した。チャンスだ。冬月。
老人たちが黙っていないぞ。
かといって、ロンギヌスの槍をゼーレの許可なく使うのは面倒だぞ。
理由は存在すればよい。
おまえが欲しいのは口実だろう。
ロンギヌスの槍。回収はわれらの手では不可能に近いな。
なぜ使用した。
エヴァシリーズ。まだ予定には揃っていないのだぞ。
碇、ゼーレを裏切る気か。
われらの願いを妨げるロンギヌスの槍はすでにないのだ。
より、この槍がゼーレの計画に必須ですが、碇の計画では後に無用のものであり、彼
の計画を妨げるものとなっています。
さらにここでカヲルの存在を考えてみます。
きみと同じ、仕組まれた子供さ。
それは偽りの継承者である黒き月よりの我らの人類。その始祖たるリリス。
そして、正当な継承者たる、失われた白き月よりの使徒。その始祖たるアダム。
そのサルベージされた魂は君のなかにしかない。
だが再生された肉体はすでに碇のなかにある。
まさか、ゼーレが直接送り込んでくるとはな。
より、最後の使徒カヲルをゼーレが握っていたことは、使徒が必要であったことをう
かがわせます。(これで、「はやすぎる」という言葉の意味も分かってきます。)
まとめますと、
委員会、ゼーレの(最初の)シナリオでは、
アダムの肉体。エヴァシリーズ。ロンギヌスの槍。(条件が揃った段階で)使徒(カヲル)。が必要であるのに対し、
碇のシナリオでは、アダムの肉体。エヴァ初号機。(ある期間のみ)ロンギヌスの槍。使徒のせん滅。
が必要であると考えられます。
これから、オリジナルの補完計画はどのようなものであるか推測してみます。
人は神様を拾ったので喜んで手にいれようとした。だからばちがあたった。それが十
五年前。せっかく拾った神様も消えてしまったわ。でも今度は神様を自分たちで復活
させようとしたの。それがアダム。そしてアダムから神様に似せて人間を作った。そ
れがエヴァ。
エヴァは神様に似せてアダムから作った人間だということですが、同時に、
魂のないエヴァには人間の魂が宿らせてあるもの。
ことより、「人間」と云う意味を魂として捉えています。そして、アダムは人間が復活させようとした神様であるけれども、このアダムには魂がないということもわかります。ここで、カヲルに対して
「そのサルベージされた魂は君のなかにしかない。」
ということから、神様の魂は使徒(カヲル)がもっていることが想像されます。(
ついでにいうと、リリスの魂をもつレイがカヲルに対し、
フィフスチルドレン、あの人、わたしと同じ感じがする。どうして。
というのもうなずけるわけです)。
そして、その肉体と魂の融合は最初の使徒(神様)の復活を意味します。これで、アダム計画(アダムの肉体の復活)とカヲルが使われる理由が分かってきます。さて、ロンギヌスの槍、エヴァシリーズはなぜ必要なのでしょうか。
ロンギヌスの槍は、ATフィールドを破ります。また、ATフィールドは
誰もが持っている心の壁だということを。
から、魂の融合を妨げるものだということがわかります。
エヴァシリーズについては、
エヴァシリーズを本来の姿に。
それは魂の安らぎでもある。
エヴァシリーズ、s2機関を解放。
次元測定値がマイナスを示しています。測定不能。数値化できません。
アンチATフィールドか。
エヴァシリーズのATフィールドが共鳴。
さらに増幅しています。
レイと同化を始めたか。
より、エヴァシリーズはs2機関を解放することによってアンチATフィールドを産
みだし、さらにATフィールドの共鳴、増幅機能をもっていることがわかります。
これから、次のことが考えられます。最初の使徒を復活させた後、ロンギヌスの槍を使いそのATフィールドを破ったのち、エヴァシリーズのATフィールドの増幅、同化機能、そしてアンチATフィールド産生により中心の木の復活をへて、全ての人の魂を最初の使徒(神様)と同化させる。つまり、人間全ての魂を「正当な継承者の始祖」に同化させること。これがオリジナルの補完計画であったと推測されます。
このオリジナルの計画は碇の裏切り、具体的にいうと、アダムの肉体の復活を目指していないこと(加持がいうところの「アダムのサンプルを横流した」こと)、ロンギヌスの槍を使用し失わせたことにより、変更を余議なくされ、
アダムや使徒の力は借りぬ。
我々の手で未来へと変わるしかない。
初号機による遂行を願うぞ。
アダムやネルフではなく、エヴァをつかってね。
となるわけです。ゼーレによる変更は23話、
ロンギヌスの槍。回収はわれらの手では不可能に近いな。
なぜ使用した。
エヴァシリーズ。まだ予定には揃っていないのだぞ。
碇、ゼーレを裏切る気か
で決定され、
ついに第十六の使徒まで倒した。
これでゼーレの死海文書に記述されている使徒は、あとひとつ。
約束の時は近い。
に示されるように、ロンギヌスの槍がないためアダムでもリリスでもない初号機による補完を計画、最後の使徒(カヲル)を囮につかうことになります。
次に碇の補完計画について考えて見ます。
最初に上でまとめたことをくりかえしますが、この計画には、アダムの肉体。エヴァ初号機。(ある期間のみ)ロンギヌスの槍。使徒のせん滅。が必要であったことを考慮にいれながら分析をすすめてみます。
冬月、人類のあらたな歴史をつくってみないか。
だれもがなしえなかった神へのみち。
だが、神に等しき力を手にいれようとしている男がいる。
われらの他に再びパンドラの箱を開けようとしている男がいる。
そこにある希望が現われるまえに箱を閉じようとしている男がいる。
これより、人類の新たな歴史となる神への道であり、(ゼーレにとっては)災厄のみ
をもたらそうという計画がゲンドウの計画であることが窺われます。
もう少し彼の計画を表すキーワードを探って見ます。
我らは人の形を捨てでまでエヴァという名の箱船に乗ることはない。
人は、生きていこうとするところにその存在がある。
というように、人の形を捨てることになるが生きていけること、そのためにエヴァが箱船、つまり媒体となることを示しています。リツコの台詞にもありますが、人間を「魂」という意味で生き延びることを示しています。
エヴァに関しては初号機がs2機関を手にいれたとき、
始まったな。
ああ、すべてはこれからだ。
といっていること、そして
しかし、ここにきて大きな損失だな。
4号機と第二支部はいい。s2機関もサンプルが失ってもドイツにデータが残ってい
る。ここと初号機が残っていれば十分だ。
われわれは新たな神を作る必要はないのだ。
われわれに具象化された神は必要ないのだ。
神をつくってはいかん。
これらから、初号機が使徒を食ってs2機関を手にいれたことはシナリオにはなかったものの、s2機関を手にいれた初号機が神となる計画の核となることは間違いありません。
さて、アダムですが、アダムの再生というゼーレの意図とは異なり、碇の右手に胎芽として存在しています。
アダムはすでに私とともにある。
だが再生された肉体はすでに碇のなかにある。
このことに関して、もう一度カヲルに戻ります。彼の肉体は部分的に人間のものと考えられます。セカンドインパクトの時の
ダイブした遺伝子はすでに物理的融合を果たしています。
はカヲルのことを指していると考えられます。ですから生年月日はセカンドインパクトと同一日であり、
使徒の肉体は光と波のようなものでできているの。
と異なるものであり、その意味でも綾波レイ(ユイの肉体をもつもの)と同じである訳で、
そのサルベージされた魂は君のなかにしかない。
だが再生された肉体はすでに碇のなかにある。
なわけです。ゼーレがカヲルを握っていられたこともこれでわかります。そして、カヲルがいう
シンジ君の父親。かれもぼくと同じか。
という意味はおそらく人と使徒の肉体を持ち使徒の魂を持つもの(カヲル)と同じく人と使徒の肉体をもち人の魂を持つもの(ゲンドウの右手に融合したアダムの胎芽)、両方ともキメラであるという意味だと推測されます。
いよいよ実行に際し、レイを使うのですが、
アダムはすでに私とともにある。
ユイと再びあうにはこれしかない。
アダムとリリス。禁じられた融合だけだ。
時間がない。ATフィールドがおまえの形を保てなくなる。
始めるぞ。レイ。ATフィールドを、心の壁を解き放て。
欠けた心の補完。不要な体をすて、全ての魂をいま一つに。
そしてユイのもとへ行こう。
といって、アダムの胎芽が融合した右手をレイの体にいれます。
しかし、シンジの叫びを聞いて、レイはもう一度形をとりもどし、
まってくれ。レイ。
というゲンドウをおいてリリスに帰ります。
ここでちょっと寄り道になりますが、ここでの台詞の意味を考えてみます。
なぜ、(突然ともいえるのですが)ATフィールドがレイの形を保てなくなるのでしょうか。ここでテレビシリーズ最終話をみてみます。そこでは、自我とはなにかを問うているわけですが、そのなかでここに呼応する台詞が現われます。
僕の他には何もない世界。僕という存在が消えていく。
ここにはあなたしかいないからよ。
他の人との壁を見ることで、自分の形をイメージしている。
他人との違いを認識することで、自分をかたどっているのね。
そう、ぼくは僕だ。ただ、他の人達がぼくの心の形を作っているのも確かなんだ。
ここで他の人との壁というのをATフィールドに置き換えてもいいわけですが、そうすると、レイが形を保てなくなったのは、 他の人のATフィールドがなくたったから、そして他のひとが見えなくなった、レイしかなくなったからだと解釈されます。
リリスの魂をもち強力なATフィールドをもつ存在にとっては、他の人というのは、使徒、もっとはっきりいうと最初の使徒(「神様」)の魂をもつカヲルと考えられます。つまり、レイが他人に無関心にみえた理由は、本質的に他人だったのはカヲルだけであり、彼の死とともにレイは一人になったわけです。レイがカヲルに実際会う前にもその存在が感じられていたと思われます。最初のレイが殺されるときカヲルが瞳に写った理由も、そこにあると考えられます。
寄り道の寄り道をします。
実はカヲルの肉体の死は魂の(完全な)死まで意味していない可能性もあります。
シンジ君を構成していた物質は全てプラグ内に保存されているし、魂とでもいうべきものもそこ(LCL)に存在している。
このLCLは、魂を保存、あるいは存在させておくことができる媒体なわけで、エントリープラグの中に使われているのも
まさか、ひとの心があの化け物を抑えるとでも。
そのための科学とテクノロジーです。
でいわれるように、心、あるいは魂を伝える機能があるわけです。レイの肉体が死んでも、LCLに残った前のレイの魂が次の肉体に乗り移れるわけです。そしてカヲルをもとにエヴァシリーズのダミープラグが作られた過程から推測されるように、その魂がLCLのなかに残ったと考えられます。ですから、最後に補完が行われたとき、カヲルが再び現われたことも矛盾がないわけです。
さて、
シンジの叫びを聞いてレイが姿を取り戻した理由はなんでしょうか。
絆だから。
その理由は、絆という関係をシンジに覚えたからです。つまり他人という形ではなく絆で自分を取り戻したわけです。ここで注意して欲しいのは、ゲンドウは自分がレイと絆という関係では最も深いと考えていたことです。セカンドのレイでは明らかにそうで、しばしばゲンドウの面影が現われることでもわかります。しかしサードのレイでは、壊されたメガネに示されるように、そうではなく、シンジとの間に姿を取り戻されるほどの絆を見い出します。(愛といってもいいでしょう。)
寄り道しましたが、もどります。
アダムの右手を切り取られたゲンドウが懇願します。
まってくれ。 レイ。
アダムとリリスとの融合だけならその右手にあったものだけでよいわけですが、それでも、こう懇願したことの理由はそれだけではないからだと考えられます。それよりも、単に融合だけをめざすなら、わざわざ右手に取り込む必要もないわけです。なぜでしょうか。明らかにゲンドウはアダムを媒体にリリスのなかに入る意図があったと考えます。アダムの胎芽は前にも分析したように魂のない存在であり、ATフィールドがないわけで、リリスのATフィールドを破らなくても同化できるわけです(ロンギヌスの槍はいらないということです)。
ゲンドウの手が下腹部で止まったことより、リリスはアダムとの子を産むもとができたわけで、これはおそらくは、魂の出ずるところ、つまりガフの部屋であることが考えられます。
まとめに入ります。
アダムを媒体にリリスのなかに入ったゲンドウは、同じようにリリスのなかに入ったシンジのように、リリスに自分の願い、ATフィールドを解き放ち全ての魂を一つにすることを求めます。そしてその魂をリリスの卵にではなく、エヴァ初号機のなかにとどめようとします。これにより、心の壁はなくなり、人類の魂はs2機関をもったエヴァのなかに永遠に残ることになります。つまり、人(の魂)はエヴァを箱船にして生き続けることになるわけです。これがかれの求めていた補完計画であり、神への道だとかんがられます。
もう少しこの時の状況を分析してみます。
初号機が必要にもかかわらず、戦略自衛隊が攻撃をしかけたとき、ゲンドウはパイロットであるシンジに何の注意を向けていません。なぜでしょうか。これは、かれのプランではエヴァ初号機があればよいわけでパイロットが、いようがいまいがかまわなかったわけです。これは冬月についてもいえます。ミサトだけが救おうと躍起になります、
つまりこの時点で彼女は補完計画を阻止しようと考えます。
また、ロンギヌスの槍がもどったこと、エヴァシリーズによる中心の木の復活、エヴァ2号機の復活を知らないにも関わらず(かれはこのときすでにターミナルドグマにいます)、
事が始まったようだ。さあ私をレイのところへ導いてくれ。
といっています。この台詞はどう解釈すればよいのでしょうか。かれは自分のプランに自信をもっていたと考えますので、ここでいう「事が始まったようだ。」というのはゲンドウの予想した事がはじまったという意味で捉えます。つまり、かれが冬月のもとから最後に去るときの予想、戦略自衛隊によるエヴァ、マギーの確保、セントラルドグマに占拠を考えていたと思います。この前に、
冬月先生、ここをたのみます。
わかっている。ユイ君によろしくな。
といっています。最後に先生と呼んだのも、冬月に対するこれまでの感謝の気持ちからでしょうし、冬月もゲンドウのプランが遂行されることを確信していたので、ユイ君によろしくといったと考えます。彼のプランの実行に移されれば、それらはどうで
もいいことになるわけです。実際はどちらの予想通りにいかなかったのは、ご承知のとおりですが。
使徒のせん滅は、ゲンドウの計画でなぜ必要であったかを考えます。これはカヲルの言葉そのままに、
滅びの時を免れ、未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ。
そして君は死すべき存在ではない。
だったためだと考えます。これは少し考えれば変な台詞です。なぜなら、永遠の生命をもたない生命体(種)は滅びの時を免れるわけはないのですから、これを個体としても種としても(mortal)である人間にいうことはおかしなわけです。
つまり、この台詞は本来永遠の生命をもつものに対していわれるべきだと考えられるからです。ところが、神様(最初の使徒)をひろった時にこの事情が変わったことがわかります。
葛木博士の提唱したスーパーソレノイド理論ですが、、、
あれはあまりに突飛すぎるよ。
まだ仮説の段階に過ぎん代物だ
しかしあの巨人の動力はs2理論以外に説明できません。
図らずとも既に実証済みですよ。あれは。
現実に存在していたのだから、認めるほかあるまい。
それまで理論にすぎなかったs2機関を、実際にもっている生命体が発見されたことに科学者たちは興奮します。つまり、このときより人類は永遠の生命を持つ種へ変わる可能性をもつ存在となります。これがどういう意味をもつのか分かったのはゼーレの人間だけだったしょう。
科学者というものはどうも自分の考えを信じ過ぎる。
独善的ですな。
思い込みが激しすぎるのだ。現実を的確に把握できん連中だからな。
そういう人種が真実を求めている。皮肉なものです。
かれらはそんな崇高なものではない。発見はよろこびであり、理解は支配につながる。
求めているのは、自分の気持ちの錯覚だ。
つまり、人類が不死の存在となる可能性を得た理由により、人間は使徒と敵対関係に入り、そして使徒は計画の推進機関であるネルフに襲いかかるわけです。もともと死すべき存在である他の人々にまったくといって興味を示さなかったこともこれで分かります。
ただ、お互いを拒絶するしかなかった悲しい存在だったけどね。
したがってゲンドウの計画が遂行されるためには、全使徒のせん滅が必須条件となります。
ところで、全ての使徒を倒したのちに補完計画なしに人類に未来はあったかというとあったと考えます。それを目指そうとしたのが、ミサトと加持であったとおもいますが、ゼーレ、碇はあくまで、形は違いますが補完計画を目指します。ご承知のとおり、E計画がさきに実行されており、補完計画、アダム計画はユイの死の後、碇によって提案されます。碇の動機ははっきりしていますが、ゼーレが補完計画を進めたのはキーツローレンツの動機が大きく影響していると考えますが詳しくは分かりません。
ロンギヌスの槍がなぜ我らの願いを妨げるものになるのか。それはs2機関をもつ使徒でさえ死をもたらす機能があるからだとおもいますが、これについては考察中です。
碇の計画でも
ロンギヌスの槍は。作業はレイがおこなっている。
に示されるように使われています。のちにわかるとおり、槍はリリスを貫いており、槍を抜くと同時に成長が始まります。リリスの魂はレイにあるため、リリスは貫かれても生きているのですが、成長が止まるものと考えます。これより、槍はリリスの成長を止めるためであったと考えられますが詳しい理由は不明です。
最後にエヴァがロンギヌスの槍とともに宇宙空間へ消えていくのは何を意味しているのか。おそらくは、他の惑星において生命の木に還元し、新たなる人類をもたらす神になるためだと思っていますが、これについても考察中です。
以上で最初の分析を終えます。牽強符会、我田引水のところはあるとおもいますが、大筋においてはyasuakiさんの分析と一致しました。レイとカヲルについて、そして使徒はなぜネルフを襲うのかなどについてもある程度分析されたと思います。