ストーリー及び設定の変遷


エヴァンゲリオンには、膨大な設定が存在している割には、不明確なものが多く、さらにそれらは変動しております。現在までに公開された範囲で、変更幅が大きかった部分に焦点を合わせ、これらの状況をまとめます。

なお、「脚本段階」、「テレビ段階」などの区分は便宜的なものです。実際には後半の脚本が決定したのはテレビ放映が始まってからですし、映画版のアイデアもかなりの揺れが感じられます。
なお、スタッフの発言などから、より詳細な設定がわかっている部分も多々ありますので、今後はそれらも統合したいと思います。

 


企画会議
[設定]
人類が生まれる前に高度なテクノロジーをもつ先史文明が2度存在した。最初の文明(第一始祖民族)はエヴァを造ったが、それが原因で滅ぶ。次の文明(第2始祖民族)はロンギヌスの槍を造ってエヴァの封じ込めに成功、後に何者かがエヴァを復活させたときの対抗策として、世界各地に使徒を眠らせた。


[解説]
この段階ではエヴァは「人の造りしもの」ではなく、始祖民族が眠らせたものを復活させたようです。そして、使徒はあくまでも、復活したエヴァを破壊するための存在です。


なお、言うまでもありませんが、ナウシカ,、ナディアなどの庵野監督が関係した作品とも非常に似ております。
高度なテクノロジーを誇った過去の文明、というのは、SFアニメの代表的な設定です。この段階では、後のエヴァが持つオリジナリティや複雑さを想像するのは難しいものがあります。


 

企画書
[設定]
生物として、進化の行き詰まった人類を救世すべく発動した「人類補完計画」。その計画を阻止すべく襲来する正体不明の「使徒」。
使徒の正体は先史知的生命体「第一始祖民族」の残した世界各地に眠る古代遺物であり、全28体。そのうち、最初の一体(アダム)は死海のほとりで発掘され、謎の爆発により破壊されていた(西暦2000年の死海蒸発事件)。

エヴァは、予想される使徒の襲来に備え、人類の叡知を結集して作られたアダムのレプリカである。骨格と人工筋肉で作られた「素体」に各種装甲服を着させられる。また、後には使徒から回収した「陽電子機関」を搭載する。


なお、第1話時点で第一次整備計画として5号機までが健造されつつあるが、4号機は爆発事故により消失、健造中止となっている。
なお、人類補完委員会は国連最高幹部会所属であり、その直属の特務機関がNERVである。NERVとは、使徒の調査・研究・捕獲・殲滅を目的とした「対・第一始祖民族専従・超法規国際武装集団」である。


[キャラクター](TVと設定が違うものだけ)
碇ゲンドウ教授・・人工進化研究所所長。人類補完計画の提唱者。研究そのものにとりつかれ、目的のためには全ての手段が正当化されるデジタルな人間になっていく。この計画の有り先には、全ての人々に真の平等をもたらす理想郷があると信じている。また、エヴァ初号機には、碇教授の秘密と真の目的が隠されている。

赤木リツコ・・盆栽とパンクロックの趣味で、猫を飼っている。


 

鈴原トウジ・・スポーツマン風だが、実はスポーツが苦手。


[演出上の特徴]
第3新東京に向かうシンジの前で、突如現れるシトとエヴァ零号機の戦いが繰り広げられる。
シンジはミサトに助けられ、父の待つNERVへ(1話「再会する人々」)。

増長したシンジはシトに敗北し、エヴァ初号機は大破。シンジは機体内に閉じこめられ、絶望を味わう。その後、放心状態から立ち直ったシンジは、使徒の陽電子機関を取り込み大改造された初号機に自分の意志でのる(13話「恐怖の後に来るものは」14話「死に至る病、そして」15話「シンジ、ふたたび」)。

シンジは捕獲され、初めてシトと会話を交わし、シトの目的等が一部明かになる(16話「敵の心の中で」)
レイの秘密が明かされる。ついに目覚め、月より飛来する最強の12使徒。エヴァ6号機は米大陸ごと蒸発。圧倒的な力のまえに無力を自覚する人類(24話「今、契約の時」)。

12使徒を止めるため、人類補完計画を破棄し、キーとなる古代遺跡「アルカ」を擁する研究所の破壊を決定する国連上層部。反対するゲンドウ(25話「アルカ、約束の地」)。

研究所は破壊され、全ての謎とドラマに決着がつく(26話「たったひとつの、冴えたやり方」)。


<人類補完計画>
半世紀前、核融合に成功し、「太陽」を自らの手中に納めた人類が、次は「完全な人間」を自らの手で造ろうという補完計画。
目的は、神が擁する禁断の「生命の樹の実」を科学的に造りだし、人間から「死」を取り除き、さらに人の抱える原罪・全ての呪縛からも、全人類を解放しようというのである。ゲンドウは、この計画の先に全ての人々に真の平等をもたらす理想郷があると信じている。

(参考)漫画版
現在も連載中ですが、冒頭のシーンでシトとエヴァ零号機の戦いが描かれている点が企画段階からの流れであることがわかります。

[解説]
この段階までくると、かなり現在のエヴァに近いものになります。

企画会議からの大きな変更点としては、
1.エヴァは、第一始祖民族が造ったものではなく、最初の使徒「アダム」をもとに人間が造った。
2.人類補完計画がメインプロットとなる。使徒が人間を攻撃するのは補完計画をつぶすため。
3.エヴァ初号機には碇ゲンドウ教授の秘密が隠されている。

なお、使徒が各地の古代遺物であるという点は、企画会議からの流れであると思います。しかし、この時点ですでに、第一始祖民族と第2始祖民族との関係は変わっており、「第2始祖民族」という言葉はいっさいでてこなくなります。
また、古代遺跡アルカが、最終的なキーとなる存在であることがわかっております。

 


脚本版
[設定]
1. ゼーレの登場
・国連を裏から操る謎の組織ゼーレが登場。人類補完委員会のさらに上位に位置します。また、ゼーレは「エッセネ」と呼ばれていることから死海文書を所有者していたユダヤ教のエッセネ派との関係が推測されます。ゼーレに宗教的な要素が集中したために、ゲンドウからは宗教色はなくなるとともに、二つの補完計画の対立が生まれます。つまり、「原罪」の問題を語るのはゼーレの役目となり、ゲンドウはそれを冷ややかに見つめながら、独自の補完計画(心の補完含む)を進めようとします。

脚本版17話冬月「エッセネもあわてて行動表を修正しているだろう」
ゲンドウ「死海文書にない事件も起こる。老人にはいい薬だろう」


2. S2機関の登場
・陽電子機関がS2機関へと変更。ただし、この時点では使徒の動力源には陽電子の存在があるとされる。

脚本版5話リツコ「間違いないわ。動力炉は、予想通り<陽電子機関>ね。でもいくら解析しても構成物質の方は全くのお手上げ。わかるのは未知の純結晶金属であるってことだけ。」


3. ATフィールドの登場
ATフィールドが使徒の重要概念として登場し、しかもそれが「こころの壁」とされます。


4. レイのクローンの存在
企画段階でもレイには秘密が存在するという設定ですが、クローンの話はでてきません。また、レイの年齢は14才となっております。また、23話「涙」に相当する話が企画段階には存在しませんでした。

それに対し脚本版では、レイは2010年の段階で5才となっています。ということは2005年生まれであり、2004年にユイが消えた直後に作られたということでしょう。そして、23話「涙」ではレイのクローン制作場が登場します。これらのことから、レイのクローンの存在という設定は脚本段階で加わったものと考えられます。


5.シンジ=神の子(神児?)という発言が見られる。これは後にエヴァ初号機を使ったサードインパクトへの儀式として具体化する(生命の木への磔になり、ロンギヌスの槍でさされる)。

脚本版21話ゼーレ「ましてあの男、碇の息子を神の子とするわけにはいかんよ」

 


6.特別な意味を持つコア
使徒やエヴァにはコアがありますが、脚本版ではこれは「自我」とされております。

脚本版20話リツコ「そしてコアの発生。エヴァ初号機に意志が、自我が目覚めつつあるんだわ」
リツコ「やはりシンジ君は、彼女に取り込まれたのね」

 


7.生態系の回復
セカンドインパクトにより乱れた生態系が回復しつつあり、セミが戻り始める。なお、この段階においては、1年中夏という設定はまだないようです。

脚本版4話老婆「おじいさん。セミですね。」
老人「ああ、セミだ。」
老婆「あの大異変から15年。15年ぶりにこの街にもセミが戻ってきましたよ」
老婆「ミンミンゼミにアブラゼミ、ヒグラシの音も聞こえますよ」
老人「うむ。聞こえる。聞こえる。」

 


[変更された要素]
1. 死海蒸発事件→南極でのセカンドインパクトに変更。当然のことながら、ファーストインパクトという概念も一緒に登場する。しかしながら、死海文書の設定は残る。


2. 使徒に捕獲されたシンジの、使徒との会話がなくなり、自分自身との内面的な対話になる。これにより、使徒自身が目的を語るシーンはなくなった。


3. 国連軍とネルフの戦い…企画段階においては25話〜26話において、使徒との戦いをあきらめた国連上層部によりネルフ本部の破壊が行われるはずであった。公開されている脚本では、25話〜26話はテレビ版と同様に内面世界のものとなっている。しかしながら、映画版25話の脚本はテレビ版の時点で完成していたということなので、この時点において、ゼーレによるネルフ本部の破壊というシナリオはできあがっていたということであろう。


つまり、企画段階においては国連上層部による、ネルフ本部施設の破壊(古代遺跡アルカの破壊が目的)であったものが、脚本段階ではゼーレによるネルフの虐殺(パイロットを含むネルフ職員が目的であり、設備は破壊せず奪おうとした)となった。施設破壊から、施設奪取・職員虐殺へと、目的も入れ替わっている。


4. 企画書にあった「第一始祖民族」は「第一先住民族」へと変更となる。この変更により、使徒を造ったのは人類の祖先ではなく、人類とは別の生命体というニュアンスになった。また、使徒が古代遺物であるという設定は明示されなくなるとともに、古代遺跡アルカは登場しなくなった。

脚本版21話ミサト「使徒は第一先住民族の残したただの戦闘兵器でない事はわかっているわ。」

 


5. 4号機の爆発事故による損失という話と、12使徒による6号機の米大陸ごとの蒸発という話がひとつになって、4号機がS2機関の実験中にディラックの海にのまれるという設定になった。


6.この段階では、アダム計画の開始時期と内容を明示する台詞が存在する。

脚本版21話ゲンドウ「今日から新たな計画を推奨する。キール議長にはすでに提唱ずみだ。E計画とは別に、オリジナルであるアダムの再生をも推し進める。」
冬月「アダム計画だな」

 


7.企画書ではエヴァは月からくる12使徒に勝てないわけだが、脚本版では全ての使徒を倒すことに成功する。

 


[演出の変更]
1. 第一話の零号機の戦いはなくなる。
2. トウジがスポーツが実は下手であるという設定は生きている。
3. リツコは猫好きという設定は残るが、盆栽趣味とパンク趣味はなくなる。
4. ゲンドウは教授ではなくなり、冬月が教授になる。
5. 加持は青空のもとで撃たれる。なお、ネルフ諜報部はゲンドウに対して、加持の居所をつかんでいないことを説明している。
6.エヴァ初号機の大破と大改造(使徒の陽電子機関の取り込み)という設定はなくなり、19話で使徒を食らい、S2機関を自ら取り込むことになる。
7.月より飛来する12使徒の設定はなくなる(宇宙からくる使徒に片鱗をとどめる)。


[解説]
ゼーレ、S2、ATフィールド、セカンドインパクトなどのキーワードが現れます。また、人類補完計画もはっきりと複数のものに分かれます。一方、エッセネ、陽電子機関、先住民族など、後に削られるものもまだ残っています。



絵コンテ版
[設定の変更]
1. 第一始祖民族、第一先住民族などの話はなくなる。唯一、ジオフロントを造った「誰か」が語られるだけである。
2. トウジがスポーツ下手であるという設定もなくなる。なお、企画段階から存在したアスカの趣味がゲームという設定は、アスカがサターンで遊ぶシーンに片鱗をとどめる。
3. 陽電子機関の話はなくなり、S2機関のみが語られる。
4.加持は、屋内で撃たれる。
5.生態系の激変により、1年中夏であり、セミが鳴いている。


[解説]
脚本に比較し、神関係のセリフ及び先住民族が削られ、謎が非常に深くなります。古代遺跡関連については、ネルフ本部がピラミッド型なことと、ジオフロントの存在、オープニングの最後の文字あたりに片鱗を留めます。月関連については、宇宙からやってくる使徒がいることと、エンディングテーマが「Fly me to the moon」であることにのみ、片鱗を留めます。


テレビ版
[特徴]
1. 絵コンテ版では死海文書が2ページほど紹介されるが、テレビ版では1ページになった。
2. ゼーレがエッセネ派として扱われるシーンが完全になくなる。
3. ネルフ諜報部員がミサトに銃を返してから部屋を出ていくシーンの足音が、加持の撃たれるシーンにかぶさっている。


[解説]
これが事実上の完成版です。第一話で使徒が「単独兵器」と呼ばれている点や、何者かが残したジオフロントが存在することにのみ、最初の企画会議の内容の片鱗がみられます。
なお、脚本版の紹介であげた台詞は、テレビ版だと全てなくなっております。なくなった理由も様々なようです。


また、ついでに25話、26話について書きますと、テレビ版では内面世界にのみ(心の補完)焦点を絞った展開となりました。ただし、ミサトやリツコの最後のシーン(映画版25話と同様)があることから、もともとは映画版25話がテレビ版でも予定されていたことがわかります。スタッフの発言からすると、制作スケジュールの問題、26話部分が完成していなかったこと、内面世界を描くことにも積極的な意義が認められていたことなどから、あのように内面世界を描くことになったようです。


春映画予告編
[特徴]
1. 「誤った人類の生命の源、リリスの卵」という言葉により、誤った生命の源であるリリスの卵と、正しい生命の源である別な卵の存在があきらかになる。
2. ミサトの「そう、このためにエヴァが13体必要だったのね」という言葉より、13体のエヴァというものに特別な意味があることがわかる。
3.黒き月の存在が明らかになる。


[解説]
上の二つの台詞は、結局DEATH AND REBIRTHでは取り除かれていました。また、黒き月ですが、これは企画書では存在し、テレビ版ではエンディングでのみイメージされていた「月」の重要性が復活したものです。


<DEATH and REBIRTH>
[設定]
1. ジオフロントは二つあることがわかった。これは、予告編で二つの卵が予期されたことに対応しています。


2. 不完全な群体である人類を完全な単体とすることが人類補完計画のひとつの目的であるとされます。これは、企画書段階で存在した、人類補完計画=完全な人間を造ること、という設定および脚本からでていた、「人は一人では生きていけない」という流れからの帰結です。


3. 人間は、アダムと同じリリスと呼ばれる生命体から生まれた18番目の使徒であることがわかります。これにより、企画会議での、「使徒は第二始祖民族の兵器」という設定は完全に無くなります。

4. ロンギヌスの槍が死海から発掘されたものであることが明かになります。これは、死海文書同様に、企画書の死海蒸発事件の流れを継いでいると考えられます。

5. 死海文書ではなく、裏死海文書という設定が出てきます。これは、死海文書が、死海蒸発事件の流れを受け継ぎながらも、現実の死海文書とは違うということでしょう。実際、絵コンテにおける死海文書の2ページは現実の死海文書と違い、天使語により書かれているわけですから、これは設定の変更というよりは、名称上の混乱を避けたということでしょうか。

6. セカンドインパクトとはアダムを卵に還元することで被害を最小限に抑えようという意図があったことがわかります。

7. シーンのつながりが変わったため、加持が撃たれるシーンでは、そのシーン専用に足音が加わっている。

8. シンジが加持の事をアスカに言うシーンが追加。

9. レイが首をしめられるシーンで瞳にカヲルが映る。

10. ロンギヌスの槍を抜く時、リリスの腹がふくらむ。脚本では、槍をぬくとサードインパクトがおきるという話が存在したことから考え、もともと槍を抜いた段階で何らかの変化を起こす予定だったのかもしれません。


<THE END OF EVANGELION>

1. ゼーレの、原罪からの解放を目指した、人類補完計画の形態がようやくわかる。

2. 企画段階では到達できなかった生命の木に、とうとう到達する。これに伴い、補完計画が発動されるという、企画書とは正反対の結末になる。

3. レイがリリスに還るという形で、企画段階から存在したレイの秘密が表現されている。

4.ジオフロントが黒き月であることがわかる。これにより、企画書からの、月の重要性がある程度表現されるとともに、企画書における、研究所にある古代遺跡アルカの設定が、ジオフロントという形で残っていた事がわかる。

なお、余談ですが、企画書における25話タイトル「アルカ、約束の地」が、企画書では「約束の日」という台詞で継続していたこと、および、テレビ版に「楽園を追われ、地上に出た人類」についての台詞があることから、約束の地=ジオフロントであり、約束とは人類がふたたび地下の楽園に帰ることであったことがわかります。これが、映画版では少々変更され、リリスの卵があらわれ、人々がLCLとして吸収されていくという演出になりました。



ビデオ11巻
[追加されたシーン]
1. 冬月が大学をやめ、医者をやっている部分。

2. 冬月が人工進化研究所をおとずれるさいの、ユイとの出会い。このシーンは脚本版には存在し、テレビ版では削られていたシーンの復活です。

3. <春映画予告編>から推測されていた「WHITE MOON(白き月)」の存在が明らかに。また、ふたつのジオフロント(白き月と黒き月)は全く同じ構造であることもわかりました。

4. アスカの精神汚染シーンが非常に激しいものとなりました。また、携帯が加持につながらないシーンなどもあり、DEATH AND REBIRTHでのシンジとのやりとりに今後つながっていくと思われます。

5. 加持が冬月を救出するシーンでセリフが追加され、アダムの横流しと自己保身が語られます。これにより、加持をねらうのはゼーレであることが、よりはっきりしました。この追加は、加持が命をかけて冬月を救おうとする動機が弱かった点と、誰が加持を撃ったのかやや不明確だった点を改善するために付け加えられたと考えられます。

 

[変更されたシーン]
1. 首をしめられたレイの瞳にカヲルが映るシーンはなくなりました。

2. ネルフ諜報員がミサトに銃を返したあとで、諜報員の足音は自動ドアのしまる音によりはっきりと消えている。加持が撃たれるシーンでの足音は完全になくなりました。

 

[解説]
ビデオ11巻では、新規追加、修正、没になっていた部分の復活など、様々なレベルで修正が加えられました。特に、白き月関連と、アスカ・シンジの関係についてはビデオ12巻につながっていくと思われます。いちいち書きませんでしたが、映画で使われたシーンもいろいろ追加されていました。エヴァの最終版はビデオ版と考えてよさそうです。

 

 



REVIVAL OF EVANGELION
[特徴]
1.ゲンドウとアダムの融合と思われるシーンの追加。これで、アダムの使われ方はわかりました。

2.首を絞められたレイのシーンでのカヲルの演出がまた変わりました。気づいてほしいため(?)。

解説]
DEATH編は、約10分削られるとともにいくつかのカットが追加されました。特に、ゲンドウのアダム発言が今一歩不明だったため、それに回答が与えられたことは重要です。



まとめ

企画段階では、人間を不死にし、原罪からも解放しようとする碇ゲンドウ教授と、それを支援する国連最高幹部からなる人類補完委員会、その計画を破壊しようとする始祖民族の遺した生物兵器である使徒たち、という構図でした。最終的に12使徒の壁を破れず、補完計画に固執するゲンドウのNERVを国連軍が破壊し、人類は生命の木の出現をみることなく補完計画をあきらめるというストーリーでした。

脚本段階では、これに加えて国連を操る宗教結社的なゼーレが加わり、原罪からの解放を目指します。また、死海蒸発事件がセカンドインパクトという人類史的事件へと変貌。ATフィールド=心の壁の登場、シトとの対話が自分自身との対話に変わった点、25話、26話で内面世界が描かれるなど、企画段階に比較し、大幅に精神性が高まりました。

テレビ版では、ゼーレをエッセネとする表現はなくなり、いっそう謎の組織となります。始祖民族、先住民族についても語られなくなり、使徒が兵器というよりは、独自の生命体という存在感を獲得します。

映画版では、この流れを継ぎ、ヒト=18番目のシトとすることにより、事実上、シト=兵器という企画段階の設定はなくなります。ヒトとシトの戦いは、種の生き残りをかけた生存競争といった感じも持ちます。

以上、エヴァが、SFアニメにありがちな設定から、あれだけのエヴァ本が出版されるほどになるまでの難解な設定になるまでを、おおまかにみてきました。
多くの変化がみられますが肝心な部分は企画書からは同じだと思います(結末は正反対になりましたが)。ビデオ12巻以降では、映画のシーンに加え、一度は捨てられたシーンや設定の復活の可能性もあり、そのあたりも興味深いものがあります。今回取り上げたのは、特に大きな部分であり、面白い設定・台詞はまだまだいっぱいあります。今後はそれらも追加してまとめようと思います。

 



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