マイケル・ジャクソンとゴッドファーザー(暗黒街との対決)

 

マイケル・ジャクソンの世界 1
マイケル・ジャクソンとゴッドファーザー(暗黒街との対決)

マイケル・ジャクソンは、暗黒街に魅力を感じるとともに、それと戦うことを作品のモチーフにしてきた。

ただし、彼の暗黒街への関心は、現実のマフィアというよりは、映画「ゴッドファーザー」によるものが大きい。

初めてマーロン・ブランドに出会ったとき、マイケルは、マーロン・ブランドと、彼が演じたドン・コルレオーネを同一視していたという。

そして、マーロン・ブランドを、本物のマフィアのドンと考えて恐れた。

その結果(?)、彼は、マーロン・ブランドの息子ミコを自分のボディガードとして雇うことになる。

そして、マーロン・ブランドをおそれるあまり、ミコにも絶大な権力を与えた。

もちろん、仕事で問題が起きると、マーロン・ブランドに助言をあおいだ。
(このへん、ほとんどゴッドファーザーの登場人物になりきっている・・・・)


また、この当時、彼は、自分の周辺をイタリア人スタッフで固めるようにした。

なぜなら、イタリア人は、ファミリーとしての結束が固いからだという。

音楽業界の主要な重鎮を自宅に招いたときは、「マフィアの半分が集まった」と有頂天になっていたともいう。

一方、自分の作品世界では、暗黒街との対決を好んでとりいれた。

映画「ムーンウォーカー」におけるスムーズ・クリミナル。

定番となった「デンジャラス」のパフォーマンス。


彼は、何度も暗黒街との対決し続けた。


マイケルは、なぜ、「ゴッドファーザー」に描かれるドン・コルレオーネのような「ファミリー」に憧れたのだろうか?

そして、何故、そのような組織と戦うことを表現し続けたのだろうか?


もちろん、一般に少年は暗黒街ネタが好きである。

そして、マイケルの趣味がおおむね少年相当のものであることから考えると、それほど不思議なことではない。


しかし、マイケルの場合、ドン・コルレオーネの一家の物語には、格別な想いがあったことも間違いないだろう。

つまり、自分が一員であるジャクソン一家とかぶってみえていたはずだ。

父親のジョセフ・ジャクソンは、ジャクソン家を支配するドンであったし、その下には年上の兄弟たちがひかえている。

その中で、年少のマイケルは、映画「ゴッドファーザー」における主人公、末弟のマイケルに、自分と近いものを感じたのだろう。

父の強大な力を拒否し、そこから逃げようとするものの、結局は兄達を追い抜き、巨大な帝国を築くこととなる実力者・・

マイケルは、自分自身の物語をゴッドファーザーの物語に、そのまま重ねていたに違い無い。

彼はマーロン・ブランドと会う前に「ゴッド・ファーザー」を数十回は見ていたという。


また、他のビデオ作品では、一切暴力を振るわないマイケルが、犯罪組織との対決でだけは、暴力をふるうのも、見逃せない特徴のひとつである。

これには、マイケルが犯罪組織を憎んでいるからというより、暴力的だった父親との関係が投影されているような気がするのは、私の深読みだろうか?



さて、いつしか、マイケルとマーロン・ブランドの間は、特別な関係となっていた。

マーロン・ブランドの息子のクリスチャンが、妊娠中の妹の恋人を射殺したときは、マイケルはマーロン・ブランドの心のささえになったという。(マーロン・ブランドのファミリーも、映画を地でいってますね・・)

また、彼は自伝ムーンウォークでこういっている。

「マーロン・ブランドは、僕のとても親しい、信頼おける友人になりました。彼がどれほどのことを僕に教えてくれたか、それは説明できないほどです。彼は僕にとって父親のような存在なのです。」


さて、マイケル・ジャクソンは、2001年、とうとう、YOU ROCK MY WORLDにおいて、ドン・コルレオーネとの直接対決を果たす。

暗黒街との対決をモチーフにしてきたマイケルにとって、ドン・コルレオーネとの対決は、ひとつの総決算であった。

この時のビデオでは、マーロン・ブランドは、貫禄は十分だが、かなり太っており、立つのもつらそうである。

この直後の9.11のテロのときは、マイケルは同じホテルに泊まっていたエリザベス・テーラーとマーロン・ブランドの無事を確かめるため、走り回ったという。




実の父とうまく関係を築けなかったマイケルにとって、マーロン・ブランド、もしくはドン・コルレオーネとの関係は、父親との関係をやり直すような気持ちだったのではないだろうか?

そして、自らの崩壊した「ファミリー」を再構築するような、癒しでもあったのかもしれない。

その2年後、マーロンブランドは永眠する。

マイケルにとっては、親友であり父親でもあるマーロン・ブランドと、宿敵ドン・コルレオーネを一挙に失ったような痛手だっただろう。




(参考文献)ムーンウォーク、マイケル・ジャクソンの真実、マイケル・ジャクソン 今世紀最大のスーパースターの悲劇と真実

マーロン・ブランドのマフィアのドンシリーズ

ゴッドファーザーシリーズ
思えば、学生時代、私が初めて買ったビデオはゴッドファーザーでした・・。
監督はいうまでもなく、「キャプテンEO」のフランシス・フォード・コッポラです。
左にいくほど豪華版です。マーロン・ブランドが出ている第一作だけなら一番右です。

ドン・サバティーニ
マーロン・ブランド自ら演じた、ゴッドファーザーのパロディ(?)。ゴッドファーザー好きの方は是非みてください。

マイケルとマーロン・ブランドが対決(?)するYou Rock My Worldが入っています。これも、ゴッドファーザー好きな方には是非見て欲しいところです。



 



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