映画「ZガンダムU 恋人たち」 感想と簡単な論評

 

昨日(2005年10月29日からはじまった映画「ZガンダムU 恋人たち」を、一日遅れで見てきました。

前回同様に感想と簡単な批評を書きます。

私の感想を一言でいえば、「とても良かった」と思うのですが、一方で、Zガンダムのストーリーに精通していないと、もはや話を把握できないだろうという気持ちも強くしました。

実際にZガンダムに詳しくない人が見てどう思ったのかは、今後いろいろな人の意見を知りたいところですが、気になったのは、前作に比べ、女性客の姿がほとんど見えなかった点です。前回は結構カップルとかいたのですが、今回はテーマが「恋人たち」なのに、恋人たちは見当たりませんでした・・

公開劇場数も増えていませんし、あんまり盛り上がっていないのかなーと残念な一方、たしかにこれでは初見の人は話が理解できないだろうなーとも思います。

Zガンダムの映画を盛り上げようとホームページまで作った私としては残念な状況ですが、私のページ自体もそういえば更新していませんでした。最終作公開までには、それなりのコンテンツを揃えたいものだと思います。

さて、映画そのものの内容についてですが、今作のテーマは「恋人たちへ」ということで、

「かつてロボット物というジャンルであったものを恋愛映画にして見せるというのは、無謀な挑戦でした。それを承知で目指したのが本作です。」(映画パンフ冒頭より富野監督の言葉)

ということのようです。

当然、フォウ・ムラサメとカミーユの物語を中軸に、アムロとベルトーチカの物語が絡むのだろうと想像していました。おそらく、ニューホンコンを中心に、キリマンジャロ編をラストに持ってくるような悲恋の演出をするのかな?とか予想していたのです。
しかし、驚いたことに、フォウの話は結構あっさり終わり(ニューホンコンのみで彼女の出番はつきてしまったようです・・)

サラとカツ、カミーユ、シロッコ

エマとヘンケン艦長

レコアとシャア

といった部分の物語が続いたところです。(そういえば、一瞬だけシャアとハマーン・カーンの接触もありました。あと、ファとカミーユという組み合わせもあったか・・(^^)

とくにサラの物語には比重がさかれており、ある意味でフォウの話よりも力点が置かれていたような気がします。最終作のことも考えると、完全にZガンダムのヒロインの座をフォウから奪ったといえるでしょう。声も、「千と千尋の神隠し」で千の声優をした池脇さんに変わっており、TVよりも初々しさを強調した役柄になっています。より少女っぽいというか・・サラの個性を明確にするには良いと思います。

ともかく、登場人物皆の恋人的様相が次々と描かれ、「なるほど、Zガンダムはこう捉えれば、こういう表現になりえたのか・・」と感心しました。それが、富野監督の狙いのひとつでしょう。

富野監督が、一方ではインタビュー

「恋人たち」とサブタイトルがついていますが、実は恋人たちの物語ではありません。「恋人たちが生かされている世界を観る物語」になっています。映像で語っていく物語ですから、単純な恋愛ものではない構造というものを見せているつもりです。

と言っているのも、単純なカミーユとフォウの悲恋ものを描こうとしたのではなく、もっと世界の全体像みたいな視点の中で恋愛を描いているということかな、と思います。

ただし、このような感心の仕方は、やはりテレビ版の内容を一通りおさえているからであり、初見の人は、人間関係含めて、わけわからなくなってしまわないかな?と思います。

それから、映像表現として注目していたのはサイコガンダムだったのですが、期待通りでした。サイコガンダムは、大画面になればなるほど、その個性が発揮できます。

これなら、有楽町のマリオンの大画面で見てみても良かったかな?と思いながら、今確認したところだと、マリオンどころか、そもそも銀座や有楽町のあたりでは、一つの館も、Zガンダム放映しているところは無いようです・・さすがに寂しいですね。

新作表現の部分では、ハマーンの部隊(謎のモビルスーツ)の攻撃シーンなど圧巻でした。最終作の最後のあたりなど、凄いことになるのではないでしょうか?

なお、個人的に映像表現として残念だったのは、Zガンダムの360度スクリーンのコックピットという設定が、映画表現だからといって、とりわけ何か新しい表現にはなっていなかったことです。せっかくの大画面だし、現在のCG技術を使えば、もっと魅力的な表現が見られるかと思ったのですが・・

ともかく、私は最終作が凄い作品になることを信じていますので、楽しみに待ちたいと思います。

(以下、テレビ版と映画版の大きな設定変更についてです)

全般的な特徴

@全般的に、キャラがテレビ版より柔らかくなっている。(ギスギスした感じや突飛な感じが減っている)。下でカミーユのところにも書きますが、これが、今回の本質的なテーマにつながる特徴のひとつです。

Aテレビ版で謎だった部分は、削除の方向で整合性をとっている(シロッコのジャミトフへの見解、ジェリドの野望への女性達の理解など)。

B旧ホワイトベースのクルーたちの話は、可能な限り残している。やはり、「ガンダム」しか見たことない人への配慮でしょう。

キャラ別

カミーユ
・前作の継続です。つまり、きれまくるテレビ版に比較し、まるくなっています。これは、今回の映画の本質的なテーマにつながるようです。この点は、富野監督の「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」創作の秘密」を参照ください。

シロッコ
・彼がジェリドとマウアーにジャミトフの真意について説明するシーンが完全に変わっていました。テレビ版では、ジャミトフの真意は、最終的には地球圏を駄目にし、人類を宇宙に移住させることが目的といっており、エゥーゴと同じではないかとジェリドが驚くのですが、映画では、単に地球連邦軍の掌握とのみ説明されています。

ただし、「次は女性の時代だ」という言葉はいきており、後のVガンダムにつながる要素は残っています。この点については、いずれVガンダムページで詳細書きますが、とりあえずはVガンダムとはなんだったのか」 を参照ください。

シャア
・レコアとの関係が若干変わりました。テレビ版より若干距離がある微妙な関係です。テレビ版の方は、過去にはいろいろ関係あったかなと感じさせる関係であり、小説版ではレコアは愛人という噂も書かれていましたが・・

また、テレビ版にはなかったと記憶しているのですが「政治家を皆宇宙に連れて行くにはどうしたらいいか」という言葉をいっています。これは、「Zガンダム」から「逆襲のシャア」への流れを自然にするために入れたのではないでしょうか?

なお、私のシャア論はこちらです。

アムロ
・スランプ的なシーンはかなり消えました。個人的にはテレビ版の鬱屈したアムロが立ち直っていくシーンというのは、Z全編の中でも好きなシーンのひとつでしたが・・

フォウ・ムラサメ
・テレビ版と同じキャラです。ただし、テレビ版に比較し、あきらかに致命傷をおっているので、キリマンジャロの話はなくなり、今回で終わってしまったのでしょう。残念な気もしますが、もともとのテレビ版自体の流れが不自然だったと思うので、今回の方が物語の流れとしてはきれい(すっきりしている)と思います。

ただし、個人的な好みでいえば、カミーユとの最後の会話の中で、「カミーユ、いまでも自分の名前は嫌い?」と聞くとき、テレビ版では、カミーユへの最終判定として聞いているのですが、映画では、カミーユの気持ち(自己肯定)に同調し、その後、あわてて銃でカミーユを追い払うというように変わっています。私としては、このへんは、テレビ版の方が良かったかなと思います。最後の最後でカミーユと自分に相容れられないものを見たという感じがして、一緒に宇宙には行けないという彼女の悲しい気持ちが理解しやすく感じました。

また、逆に映画では自分も宇宙にカミーユと一緒に行こうという気持ちを出しているのですが(そのために先の変更を行ったのかもしれません)、悲劇性を高めるとともに、登場シーンが短くなったこととも関係しているのでしょう。

ベルトーチカ
・テレビ版のとっぴなところがなくなり、純粋にアムロを心配している女性に変わりました。これなら、やはり、私の持論の「「逆襲のシャア」はベルトーチカ・チルドレンでいくべきだった」という思いは一層強くなります。このバージョンでは、ベルトーチカはアムロの子供を妊娠します。

ジェリド
・前回の感想文で書き忘れましたが、ジェリドは、根本的にテレビ版から変更された人物だと思います。エピソードはおおむね同じなのですが、彼の野望に関するセリフ(周囲を踏み台にし、全てを手に入れたい)は、前作含め全て削除されています。また、彼を買いかぶったセリフ(ジェリド、あなたならやれる!)も、全て削除されています。

これにより、彼は、彼の行動に一致した小物キャラとして確定しました。テレビ版では、彼の能力からすると過大な野望を持ち、しかも彼を見込んだ女性が次々と出てくるため、どっかで彼は化ける可能性もあったのか?と思わせるものがありましたが・・映画版では、そのような疑問を持たせる要素は無くなっております。

サラ
・上でも書きましたが、テレビ版より、あきらかにメインキャラとなっております。次回どうなるのか楽しみです。あと、気になったのは、強化人間かのように感じ取ることが可能なようにセリフが微妙に変わっていたところです。というか、普通に見たら、映画版では強化人間なのでしょう。その意味でも次作は興味深いところです。

レコア
・前回辱めの話がなくなったことに加え、今回、シロッコの船(ジュピトリス)への単独潜入の話がなくなり、代わりに、サラを通じてシロッコへの意識が強くなるという表現をとっています。また、シャアとの位置づけも若干変わったこともあり、次回、シャアへの訣別からシロッコへの裏切りがどのように表現されるのか、とても楽しみな部分です。

なお、レコアとシャア、シロッコについての私の論はこちらです。

エマ
・前作ふくめ、映画版では高飛車なシーンが随分なくなりました。

ヘンケン艦長
・エマへの思いに関する部分はいろいろ強調されていました。ガンダムシリーズは、女性が男性の危機に自発的に身代わりになるという、現実にはあまりないシーンが多い話なので、逆に、彼のように、命がけで女性を守ろうとする人物は貴重だと思います。

ファ
・ケタケタ笑うシーンが追加されたため、一瞬、ファは異常な人格設定のキャラに変更されたのかと早とちりしてしまいました(^^)。テレビ版での基本設定である「カミーユの彼女」という役割は同じなのですが、映画版では他の女性が猛スピードで登場するために影は非常に薄くなっています。

カツ
・テレビ版のようにつきぬけた無茶なキャラではなくなっている。もっとも最終作での行動にどう変化があるかは不明。

ウォン
・前回出てこなかったので、唯一の映画版完全削除キャラかと思っていたのですが、今回は大活躍(?)でした。ステファニーの父親にまでなってましたし(^^)

その他の人々
・おおむねテレビ版と同じです。

以上、一回しか見ていないので、記憶違いや見落とし等あると思います。もし、気づいた点などあれば教えてください。また、皆さんが映画見た感想など書き込んでくれるとうれしいです。(ガンダムページの掲示板でもいいです)



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