シャア・アズナブル論 序章



・シャアの考え、行動を読み取るのは難しい。
とくに、ガンダム、Zガンダム、逆襲のシャアの3作品における彼の変化を見ると、彼の統一性が何なのか、理解しがたいケースがある。

しかし、それは、あまりにも「赤い彗星のシャア」を基本イメージとしているからではないか?全体を統一的に把握するには、もっと異なるアプローチが必要なのではないか?
というのが以下の主旨である。

丹念に作品を見ればわかるように、赤や金のモビルスーツを使っているシャアは、あくまでも偽装にすぎない。

本当に重要なのは、暗殺者としてのシャアであり、何よりも、Zガンダムにおける、弾をはずし続けるシャアなのではないか?
(これは、第二論文で論じる。第一論文がつまらなかったら、第二論文だけでも読んで欲しい)


以下、シャア・アズナブルについて語るが、基本資料として以下のものを利用した。
これらに書かれているシャアの言葉は、そのままシャアの言葉として引用させてもらっている。小説版と映画、TVでは若干異なる点もあるが、シャアの発言に関しては、彼という人間を分析する上では、矛盾するようなものではないとの考えによる。

TV版ガンダム、Zガンダム
映画「逆襲のシャア」
小説版「Zガンダム」
小説版「逆襲のシャア ベルトーチカチルドレン」


また、参考資料として、以下の2点は重要な位置づけを与えた。
Zガンダム−逆襲のシャア− 企画書
ZZガンダム 企画書

そのほか、富野監督本人の発言は使うこととした。

内容の概要は以下のようになる。

第一論文

第一章 シャアの本質はモビルスーツパイロットではなく暗殺者であるこということ。


第二章 暗殺者としてのシャアの行動を規定しているのは少年期のザビ家による両親暗殺であること
・・父親の死への固着
・・母親の死への固着

(注)「固着」というのは、フロイトの精神分析の用語であり、ある精神的衝撃などがあった場合に、無意識がその出来事から離れらなくなることを言う。その場合、同じ状況を再現しようとしたり、コンプレックスとして様々な行動に規制を加えたりする。


第三章 彼は自らのコンプレックスに気づき、それを脱しようとしていたということ
・・アクシズ落としにより、彼は少年期に固着した自分への決着をつけようとしていたこと
・・人類の自立と自らの個人史を重ね合わせていたこと

最後に(まとめ)


第二論文 シャア・アズナブルの真実
・・より一層シャアの深層に迫るために、精神分析の概念をいくつか使うこととなったため、第二論文として分離した。


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